ホテルニューオータニ、5トンの生ごみから「カクテル」を開発 誕生のワケを探った:カクテル×SDGs(3/3 ページ)
ホテルニューオータニ東京は「生ごみ由来のカクテル」を開発したと発表した。ホテルの厨房などから1日に出る5トンの生ごみを活用しているというが、どういうことなのだろう? 担当者に話を聞いてみたところ……
24時間稼働し、生ごみをたい肥にする「コンポストプラント」
――先ほど吉田さんが話されていた、生ごみをたい肥にする機械「コンポストプラント」とはどういうものなのでしょうか?
片岡さん: 当ホテルの1階に機械があるので、お見せしながら説明しますね。
コンポストプラントは「加熱処理」「乾燥」「熟成」「異物除去」という流れで動いています。まず、ホテルの厨房などで出た生ごみを集めます。最初の機械で、生ごみをかき混ぜながら120度の蒸気で一気に「加熱処理」していきます。
そうすることで、殺菌、消毒された状態を作ります。そこから「乾燥」「熟成」を通してたい肥に。「異物除去」ののちに提携農家に買い取っていただきます。提携農家だけでなく、当ホテルのローズガーデンや庭園の土に混ぜることもしています。
――すごく手間がかかっているように感じます。1ホテルがここまで投資する意味があるのでしょうか?
片岡さん: もちろん、ごみの量が少なければ東京のごみ処理場に依頼したほうが安く済むと思います。しかし、当ホテルでは1日に5トンもの生ごみが出ます。この規模を自社でやるからこそ、コスパ面でも意味が出てくるのです。
――新型コロナウイルスの影響で経済活動がストップしたことが、環境面ではプラスに働いたという研究結果が出ています。ホテルニューオータニとして今後、環境問題にどのように取り組んでいきたいと考えていますか?
当ホテルは、まだサステナブルが話題になる30年以上前から課題意識を持ってさまざまな環境問題に取り組んでいます。その結果、19年度の会社全体の二酸化炭素排出量は、東京都が設定する基準排出量(大規模事業所の削減目標量)の約29%減を達成しました。
今後もお客様の快適な滞在を担保しながら地球環境に配慮した取り組みを推進していければと思っています。
――すみません。非常に言いにくいのですが、サステナブルな取り組みを聞きに来たにもかかわらず、カクテルを飲み残したままだと気付きました……。
片岡さん: ああ、大丈夫ですよ(笑) コンポストプラントに行って、またカクテルに生まれ変わるので。
(終わり)
関連記事
- ”おじさん上層部”の反対を押し切って発売 約2年で44万個売れた「プリントグラス」のヒットの理由とは?
創業200年の老舗ガラスメーカーが復刻させた、昭和レトロなデザインのプリントグラスが爆発的に売れている。累計販売数は2019年10月の発売から約2年で44万個を突破した。昨年の1月からは7カ月連続で月次の最高販売数を更新しているという。なぜ今、復刻商品が売れているのか? その秘密に迫る。 - やよい軒の「おうち定食」 発売3カ月で100万食を突破
やよい軒のテークアウトサービス「おうち定食」が発売3カ月で100万食を突破した。売り上げ全体に占めるテークアウトの割合は15%に上る。おうち定食とは? 特徴や今後の目標を聞いた。 - キン肉マンのキャラ「ティーパックマン」が紅茶に? 発売3日で約1000箱が売り切れ間近
キン肉マンのキャラ「ティーパックマン」の紅茶が発売された。どんな商品なのだろうか? 精密部品メーカーが開発したようだが、どんな狙いがあるのだろうか? - オープン初月で全店黒字化 24時間無人の古着店「秘密のさくらちゃん」を読み解く5つの秘密
コロナ禍でアパレル企業の業績が落ち込む中、続々と出店数を伸ばしている24時間無人の古着店がある。「秘密のさくらちゃん」だ。2020年1月に1号店を出店し、7カ月で4店舗まで拡大、全店でオープン初月黒字化を達成している。秘密のさくらちゃんを読み解く5つの「秘密」を探った。 - 「たばこの値上げ額、いくらまでなら許せる?」 値上げの限界は600円
ゼネラルリサーチは「たばこの値上げ」に関する調査を実施した。1カ月のたばこ代は? 値上げ額、いくらまでなら許せる? など喫煙者の考えを調査した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.