ロンドンで「うどん」が大盛況! なぜ丸亀製麺はコロナ禍に欧州を攻めるのか:採算が取れる戦略(4/6 ページ)
国内外に1000店舗以上を展開する丸亀製麺。21年7月には、英国でロンドン1号店をオープン、同時に欧州展開を本格化すると発表し、話題を呼んだ。世界的に不安定な情勢の中、なぜ丸亀製麺は欧州に焦点を当てるのか。同店を運営する担当者に話を聞いたところ……。
現地物価の6割でも、採算が取れる戦略とは
親しみやすい価格帯は確かに入店動機になる。だが一方で、「採算が取れるのか」という疑問も。同社では、キッチンのオペレーションを最適化し、圧倒的に回転率を上げることで売り上げを伸ばしているという。
「今回、日本で豊富な店舗経験を持つ本川功平を品質保証責任者として派遣し、現地スタッフをみっちりトレーニングしています。それでも、当初は天ぷら待ちの列ができていましたが、最近はスタッフがスキルを身に付け、どんどん回転率が上がっています」
天ぷらは、当初30分で36個をあげるのが限界値だったが、現在では30分100個までスピードアップ。ちなみに、本川氏は30分144個と神業レベルのスキルを持つそうだ。
早い、うまい、安いに加えて、丸亀製麺が重要視する「ライブ感」と「おもてなし」も健在だ。
「足を踏み入れると、目の前に製麺の光景が広がり、ゆでたての麺、揚げたての天ぷらが提供され、自分好みの本格うどんを作ることができます。このライブパフォーマンスの要素は現地でも評価をいただき、『店内で日本を感じられた』というコメントもありました。
スピードと質の良さの両面を打ち出す、日本式のおもてなしも大事にしています。これから始まるクリックアンドコレクト(モバイル事前注文によるテイクアウト)サービスも、玄関口でサッとお渡しするのではなく、店内のライブパフォーマンスを体感していただける動線にしました。テイクアウト専門スタッフが商品を手渡しつつ、召し上がり方やフリー薬味トッピングをご案内するなど、温かみのある接客を提供します」
オープンから約1カ月が経過した現在、1日の平均客数は700人ほどで、900人を超える日もあったという。客層はアジア系3割、ヨーロッパ系7割で、35歳以下が約7割を占めているとのこと。
「オフィス街とショッピング街が融合した立地ということもあり、当初から食のトレンドに敏感な20〜30代がターゲットでした。現在までは、ほぼ見込み通りの集客です。もう少しコロナが落ち着けば、ビジネスマンなどが増えるのではと思っています」
関連記事
- 前年比130% 6個入りの「冷凍たこ焼き」が、売れているワケ
テーブルマークの「ごっつ旨い大粒たこ焼」が売れている。2020年の売り上げをみると、前年比130%で推移した。今年も引き続き好調のようだが、商品化にあたってどのような苦労があったのか。担当者に話を聞いた。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。 - トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?
首都圏のオフィスで、ある「実証実験」が行われた。トイレの個室に「他の個室の使用状況」と「滞在時間」を表示したところ、どういった効果があったのだろうか。システム開発を手掛けているバカン社の河野社長に話を聞いたところ……。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.