500人の組織から数人の部署へ突然の異動 「@JAM」仕掛け人は、いかにして日本有数のアイドルフェスを作ったのか:アイドルプロデューサーの「敗北、信念、復活、成功」【中編】(2/5 ページ)
ポップカルチャーフェス「@JAM」の総合プロデューサーの橋元恵一さんは、絢香、ケツメイシ、山崎まさよし国内を代表するアーティストに関わり、波に乗っていた。しかし42歳の時に異動を命じられ、門外漢のアイドル業界に飛び込むことになる。そこからいかにして、有数のアイドルフェスを作り上げてきたかを聞いた。
LiSAは夢を実現した
――実際にヲタクカルチャーの仕事を始めてみてどうでしたか?
自分の誤解や偏見が、少しずつ払拭されていった感じです。2010年に初めて取り組んだ「ヲタJAM」、同じく11年に開催した「@JAM」。その出演者の中にはLiSAがいて、彼女を真剣に売ろうとしているチームがいました。しかし、当時はアニソンなどに少なからず勝手な誤解や先入観を持っていました。
後で気付くのですが、振り返ると自分の誤解や偏見が恥ずかしくなりました。結果、LiSAは押しも押されもせぬアーティストになっていきます。ヒットを信じて頑張った本人やチームに熱い思いがあったからに他ならないと感じています。
他にも「ヲタJAM」や「@JAM」では、ボーカロイドを使ったアーティストを起用していました。そこでもボーカロイドの可能性を信じて取り組んだ者がいて、やはり先見の明があったと思います。
――先進的な取り組みでしたね。まだ時代がそこまで追い付いていなかったのかもしれません。
「ヲタJAM」や「@JAM」では、ボカロアーティストがいて、アイドルがいて、アニソンアーティストもいました。今にして思えば、本当はさいたまスーパーアリーナクラスでやれるイベントを、新木場のUSEN STUDIO COASTでやっていた感じです。しかし、お客さんが入らず意気消沈していたのが11年でした。
確かにまだ、ちょっと早かったのかもしれません。加えて、私自身がその価値に気付いていませんでした。私自身が本当の意味で可能性を信じきれていなかったのだと思います。
――最近では、Adoさんなど多くのメディアに取り上げられるアーティストもボカロに影響を受けたと発言していますね。
米津玄師にしても、YOASOBIにしてもボカロから音楽を始めていますからね。
――当時のLiSAさんにはどういう印象を持ちましたか?
当時の私たちからすると、若くてかわいい女性がアニソンを歌っているという感じでした。でも、インタビューなどを通じてアニソンというジャンルだけにとらわれないシンガーになりたいのだということを感じていました。恐らく、そのスタンスは今もきっと変わっていなくて、実現していったのだと思います。
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