“報われない苦労”の元凶 インサイドセールスこそ知るべき「ホリゾンタルとバーティカル」:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス(9)(2/3 ページ)
インサイドセールスの手段を考えるとき、ホリゾンタル/バーティカルという区分けを知ることが重要だ。筆者の失敗談も踏まえながら、どのようにインサイドセールスと向き合うべきかのヒントを紹介する。
“報われない苦労”はなぜ起きたのか
私自身も、前職でバーティカルSaaSのインサイドセールスを担当していたのに、ホリゾンタルSaaSを前提としたやり方を目指してしまい、大きく失敗した経験があります。
MAの活用にあたり、細かくシナリオ設計をし、メールの開封やリンクのクリックから判別して次に送付されるメールの内容が自動変更されるように設定したり、一定の回数以上アクションがあったリードは自分に通知が来るようにしたりと、自動化の美学を追及しました。
しかし、リードの母数が少ない中でそうした仕組み化を行っても思ったような成果は出ず、私が想定していたシナリオ通りにはなりませんでした。自動化のフローを通過したリード先に電話をしても、先方のサービスに対する期待感は特別熱いものではなく、あらためて個別的なヒアリングをして提案を考える必要がありました。
結局ホットリードは、複雑なフローを通過したリードではなく、初めからシンプルに直接問い合わせがくるものがほとんどだったのです。
もちろん、単純にシナリオ設計の内容が悪かっただけかもしれませんし、全てに当てはまる話ではありません。しかし、振り返って考えると、ホリゾンタルとバーティカルの違いを考えなかったことが、失敗の原因だと私は捉えています。
つまり、ホリゾンタルSaaSでよく行われているMAを有効活用したインサイドセールス手法に捉われて、個別感のある温かいコンタクトをおろそかにしてしまった失敗例なのです。
ホリゾンタル前提の情報が多い
今世の中に出ているインサイドセールスのノウハウは、ホリゾンタルを前提としていることが多いと思います。
実際に、セールスフォース・ドットコムを筆頭に、インサイドセールスを先進的に取り入れて成功した企業の多くが、ホリゾンタルSaaSのサービスを提供をしています。
もちろん偉大な先人から学び、リスペクトを持つことは大事なのですが、もしあなたの企業がホリゾンタルでないのなら、全く同じやり方を目指していても、自社ではうまくいかないケースが多いでしょう。
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