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自動運転タクシーの課題と未来 日産がEasy Ride実証実験第3弾(2/2 ページ)
アプリで呼び出すと、無人のタクシーがやってきて目的地まで乗せていってくれる——。こんな未来のモビリティの姿は、遠くはあるが着実に近づいてきているようだ。
目指すのは無人運転のレベル4、5
そもそもなぜ自動運転タクシーが必要とされているかといえば、特に地方部における公共交通網の衰退のためだ。例えば北海道では1987年から2021年までの34年間で、7路線、804キロの鉄道が廃線となった。日常の足はクルマが中心となっているが、高齢化率も高い。75歳以上の免許返納率は、都市部に比べて地方部では低く、認知の衰えがありながら仕方なく自家用車に乗っていることがうかがえる。
公共交通網が成り立たない理由は、簡単にいうと「もうからない」からだ。この課題を解決するために、MaaSなどの発展が期待されているが、究極の姿はドライバーのいない無人タクシーになるだろう。
「目指すのはレベル4、5の無人化。インフラが重い、固定費が重いモビリティは維持が難しい。自動車がいいのは、線路がいらなくてメンテナンスも大きくないこと。その中で、最大の費用はドライバーだ」(土井氏)
自動運転タクシーの実現に向けては、技術の進歩だけでなく、どう収益性を高めるかがカギとなる。土井氏は、「無人よりも先に有人で技術を積み上げる。これから無人に向かって何をしなくてはいけないかはだいたい分かっているつもり」とし、技術面での展望には自信を見せる。
一方で収益化については、自動運転だけでは解決にならない。無人になったからといって、高い運賃を取るわけにはいかないからだ。「MaaS化、人と物を一緒に運ぶなど、いろいろな手段を組み合わせて収益化していく」(土井氏)
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