2015年7月27日以前の記事
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ロードプライシングは成功だったのか? 大幅値上げを目論む首都高速の料金改定案高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)

渋滞、それも有料道路での渋滞が大嫌いな筆者にとって、オリンピックを機に割増料金が課されていたこの2カ月間は、振り返れば「1000円アップはむしろ割安だったかも」と思わせるような環境だった。しかし、だまされてはいけない。ロードプライシング制の正式導入に向けた実験的な施策なのだ、今回は。効果を認めてしまうと首都高速は「しめしめ」と思って正式導入に向けて動くに違いない。

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大幅値上げを目論む首都高速の料金改定案

 首都高速は2005年までは道路公団であり、わずか10年ほど前までは料金も固定で東京区間700円(乗用車の場合、以下同)、神奈川区間600円というリーズナブルなものだった。

 対距離制を導入してからというもの、一時は最大900円に値下がりしたが、現在は1320円(最高額としては固定料金時代とほぼ同等)にまで上昇、22年4月以降は最大で1950円へと、一気に1.5倍近くへと値上げされることが検討されているらしい。


首都高速道路が3月12日に発表した「首都圏の新たな高速道路料金の具体案」。現在の上限1320円から、1950円へと値上げを検討している

 これは首都高速を利用しているドライバーにとってかなりショッキングな情報ではないだろうか。企業にとっては交通費の負担増となるし、個人の出費としては往復で1200円以上の負担増になる。

 首都高速を通過して周囲の高速道路へと向かう場合、首都高速を使わなければ大幅に時間が掛かることも珍しくない。時間短縮に首都高速の価値を見出すことは簡単だが、その代価が急激に値上げされようとしていることには、危機感を覚える。恐らく首都高速を利用するドライバーも同じ心境ではないだろうか。

 この10年の間に都内で新たに開設された路線は、中央環状の山手トンネルくらいのものだ。大橋JCTには多額の建設費用が投じられたとは聞くが、通行量はこの10年ほぼ横ばい状態であり、大型車の割合は増えている。つまり通行料金の収入は増え続けているのだ。

 利用台数が減少して収益が悪化しての値上げならまだ理解できるが、コロナ禍にあっても首都高速の収益はほとんど悪化していない。さらに民営化されても、料金収入で営利を追求しないという方針は変わっていないため、値上げは収益性の改善が目的ではないはずだ。

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