岡田武史監督が選んだ経営者という生き方 FC今治を通じて“チーム日本”を引っ張る:経営者・岡田武史【前編】(5/5 ページ)
あの「岡ちゃん」は今、経営者になっている――。サッカーワールドカップ日本代表の監督を2度務めた岡田武史。なぜ、岡田武史は経営者になったのか。「これからは物質の豊かさではなく心の豊かさを追う時代」だという岡田。本人に話を聞いた。
心の豊かさは、数字で表せない
――「物の豊かさより心の豊かさ」という岡田さんたちの企業理念に、だんだんと社会がついてきているんですね。
物の豊かさは数字で表すことができます。売り上げやGDPなどは数字ですよね。でも、心の豊かさは数字で表せない、目に見えない資本です。実はスポーツや文化って、物質を売っているわけではありませんよね。そこで得られる感動に人が集まってくる。信頼や共感や夢は数字で表せません。でも、そういうものにこそ、お金が回り始めます。
うちの会社のパートナーになってくれる企業も、共感してお金を出してくれているけれど、決算書に【共感:○○円】とは書けないですよね。そうすると、株主をはじめ、対外的な説明は難しくなってくる。それでも大金を出してくれるところがある。それは、こういった数字に表せないものの必要性に、皆が気付き始めているからだと思います。
――なんだか岡田さんの話を聞いていたら、少しずつ希望が持てるようになってきました。
「経済が成長しない!」「GDPを上げなくては!」と叫ぶ人もいますが、本当にこれからも経済成長は必要なのでしょうか。もう、かなり豊かになってきて、いいところまで来たよな、って思いませんか?
いったんGDPを測ること自体への疑念はおいておいても、世界中のGDPは落ちてきています。それなのに高度経済成長時代の“あの頃”に戻ろうとする。戻ることもできないし、戻るべきでもありません。
『失われた30年』なんて言われ方をしますが、全く失われてなんかいませんよ。むしろ、日本は“最先端の停滞期”にやってきたのではないでしょうか。もう、物質の豊かさではなく心の豊かさを追う時代です。そのことに、コロナで気付き始めた人も多いと思います。これから、どんどんと変わり始めていきますよ。(敬称略)
著者プロフィール
霜田明寛(しもだ あきひろ)
1985年東京都生まれ。東京学芸大学附属高等学校を経て、2009年早稲田大学商学部卒業。文化系WEBマガジン『チェリー』編集長。『マスコミ就活革命〜普通の僕らの負けない就活術〜』(早稲田経営出版)など、3作の就活・キャリア関連の著書がある。ジャニーズタレントの仕事術とジャニー喜多川の人材育成術をまとめた4作目の著書『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)は5刷を突破のロングセラーに。。J-WAVE『STEP ONE』・SBSラジオ『IPPO』などメディア出演も多く、日々の仕事や映画評、恋愛から学んだことなどを発信するネットラジオVoicy『霜田明寛 シモダフルデイズ』は累計再生回数200万回・再生時間15万時間を突破するなど話題に。Twitter。
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