表参道に「IoTゴミ箱」を設置して1年、ゴミはどうなったのか:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
2020年10月、表参道の歩道に「IoTゴミ箱」が登場した。あまり聞きなれない「IoTゴミ箱」とは、どんな特徴があるのか。また、1年ほど運用してみて、どのようなことが分かってきたのだろうか。
SmaGOの特徴は3つ
SmaGOには、大きな特徴が3つある。1つは、箱の上部にソーラーパネルを設置しているので、いわば“自給自足”で動くことができる。2つめは、ゴミがたまってくると自動で圧縮されるので、通常のゴミ箱と比べ5〜6倍の容量を捨てることができる。3つめは、3G通信機能によって、ゴミの蓄積状況がクラウド上でリアルタイムに把握することができる。
ゴミが増えてくれば自動で圧縮して、ゴミ箱ごとにたまり具合が分かる。こうした機能が搭載されていれば、ゴミの回収作業を効率よくすることができ、コスト削減にもつなげることができる。すでに導入している海外では、そのような結果が出ているのだ。
ふむふむ、導入している海外の自治体で、成功事例が出ているようである。しかし、日本ではゴミ箱が少ない。そんな状況の中で、なぜIoTゴミ箱なるモノを輸入して、展開しようと思ったのだろうか。フォーステック社の竹村陽平社長に聞いたところ「海外から『日本はキレイな国』と言われていますが、街中でゴミを捨てる人がいますよね。また海洋ゴミの多くは街中のゴミが原因なので、この問題をなんとかすることはできないかと考えていました」とのこと。
米国でSmaGOを目にした竹村さんは、日本での導入を考えたものの、大きな壁が待っていた。行政がなかなか「GO」を出さなかったのだ。
SmaGOを設置にするにあたって、表参道沿いの歩道に狙いを定めた。歩道には、たくさんの人が歩いている。食べ歩きしている人もいて、たくさんのゴミが出る。商店街の人たちも、そのことに頭を悩ませていて、ゴミ箱を設置するものの、すぐにゴミがあふれる。あふれたゴミの上に、ゴミを捨てる人が次々にあらわれ、悪循環に陥っていたのだ。
そんな状況をなんとかしたいと考え、SmaGOの設置を進めるものの、行政が首をなかなか縦にふらない。なぜなら、表参道の歩道は、東京都が所有しているから。しかも、このゴミ箱の表面には「広告掲載」を考えていた。このことも、許可に時間を要し、結果1年半ほどの時間がかかったのだ。
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