表参道に「IoTゴミ箱」を設置して1年、ゴミはどうなったのか:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
2020年10月、表参道の歩道に「IoTゴミ箱」が登場した。あまり聞きなれない「IoTゴミ箱」とは、どんな特徴があるのか。また、1年ほど運用してみて、どのようなことが分かってきたのだろうか。
コスト削減に効果
ゴミ箱の表面に広告を掲載すると、いろいろと時間がかかってしまう。それでも掲載しなければいけない理由があった。
「米国の街中には、たくさんのゴミ箱があるんですよね。例えば、既存のゴミ箱100個あったところに、SmaGO100台を設置すればどうなるのか。ゴミの回収コストが削減されるので、導入が進みました。
一方の日本はどうか。ゴミ箱がないところに設置することになるので、コストがかかっていないところに置くことになる。つまり、新たなコストが発生することになるので、導入が難しいのではないかと思いました。こうした背景があったので、企業と一緒になって街中をキレイにすることはできないかと考え、広告掲載というビジネスモデルにしました」(竹村さん)
行政の担当者と交渉を重ね、なんとかIoTゴミ箱を設置することができた。日本での設置にあたって、竹村さんは「ゴミ箱をキレイに保つことを心がけた」という。ゴミ箱からゴミがあふれていると、人はその周囲にモノを捨てる傾向がある。そうなってはいけないので、ゴミが60〜80%ほどたまってきたら、回収するようにしたという。
また、ゴミ箱を拭(ふ)くなど、毎日の清掃も欠かさないようにした。ゴミ箱がいつもキレイであれば、利用者もキレイに使おうとする。みんなでキレイに使うことができれば、気持ちがいい。こうした人間の心理を考えて、ゴミ箱の保守・管理にチカラを入れたのだ。
で、1年ほど運用してみて、どのような“結果”が出たのだろうか。表参道で従来型のゴミ箱を設置していたとき、商店街の人たちは1日3回ほど「ゴミがあふれていないかな?」「そろそろ回収したほうがいいのでは?」などと心配になって、チェックして回っていた。もちろん、いま、そんなことはしていない。とある商業施設でも導入したところ、以前はゴミ箱を監視する人を常駐させていた。もちろん、いま、そんな人はいない。
ゴミの回収頻度を減らすことによって、コスト削減につなげることができた。当初の予定通りである。竹村さんにとって、うれしいことがもう一つあった。「ゴミをあふれさせたことがなかった」のだ。SmaGOを導入するにあたって心がけていたことを実践して、それが成果につながったのである。
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