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20年経った確定拠出年金なぜ普及しない? 利用者は成功体験、複雑さが課題(2/4 ページ)
確定拠出年金制度ができてから20年が経過。その間「老後2000万円」問題などの影響もあり、自助努力で老後に備えようという意識の高まりから、利用者は940万人に達した。しかし、これはまだ労働人口の10%に過ぎない。DCを利用している人が成功体験を得ている一方、制度の複雑さから利用を足踏みしている人も多くいるという課題が見えてきた。
なぜDCを利用しないのか? 60歳まで引き出せない
利用者の運用がうまくいっている一方で、制度を利用しない理由は何なのか。最も大きい理由は「60歳まで引き出せないから。特に若年層にその声が大きかった」とフィデリティ・インスティテュート首席研究員の浦田春河氏は分析する。男性の30%、女性の36%がこれをDCの良くない点に挙げ、この傾向は若年層になるほど強かった。
年金という性格上、積み立てた資金は60歳になるまで受け取ることができない。若いほどいろいろなライフイベントが待ち受けており、その中で老後は最後にやってくるイベントだ。若いうちからDCにお金を入れてしまうと、緊急事態が発生したときに使えないのが怖いのではないか。
「投資の一般原則は、複利効果。これを生かすには長く運用しなくてはいけない。しかし今の制度は、若者をかえって遠ざけることになってしまっている」(浦田氏)
同様の制度を持つ米国では、こうした若者向けの対策が行われている。緊急時には自分のDC口座残高からお金を借りることができる。「このような設計を盛り込むと、もっと若年層を取り込めるのではないか」と浦田氏は指摘する。
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