面白そうな場所ができていた 京阪電鉄「なにわ橋駅」のB1:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)
京阪電鉄の中之島線「なにわ橋」の改札外コンコース「アートエリアB1」は、駅構内の遊休空間の興味深い事例だ。京阪電鉄、大阪大学、NPO法人ダンスボックスが共同で運営。改札口の隣。大阪の中心部にアーチストや学識経験者が集う、なにやら面白そうな場所ができた。多才な人々が集まり、新しいコトが起こるかもしれない。
現実としてなにわ橋駅と中之島線の利用者数は少ない。2008年の開業時は通勤特急、快速急行も発着するなど、気合いの入ったダイヤだった。しかし1日当たり7万2000人を見込んだ利用者数は、開業初年は約2万6000人、以降、少し増えたとはいえ3万人前後だ。
11年に日中の快速急行と区間急行が廃止され、13年には準急の多くが普通(各駅停車)となった。現在の中之島駅の時刻表は、朝夕に区間急行と準急があり、夕方に1本だけ快速急行があるほかはすべて普通列車だ。すべて中之島線内は各駅に停車する。
しかし終点の中之島駅には「なにわ筋線」の駅ができる。JRと南海電鉄が共同運行する路線だ。京阪電鉄沿線の人々が関西国際空港に行く場合は中之島線のほうが便利になる。なにわ筋線は31年に開業予定だから、あと10年の辛抱だ。その間に中之島の再開発も進展するだろう。
長期的には延伸構想もある。中之島から西九条へ、さらにその先、新桜島へ。これは04年に近畿地方交通審議会の答申第8号で示された。もうひとつの案として、九条駅から大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)中央線や、阪神電鉄と相互直通運転も構想もあるようだ。もっとも、直通運転構想は京阪電鉄社長の談話という形で報道されており、どこまでホンキか分からない。しかし、実現したら便利になりそうだ。
中之島線の建設には2つの意図があった。中之島再開発と京阪電鉄ターミナル機能の分散だ。この路線は上下分離の枠組みで作られた。建設及び保有者は第三セクターの中之島高速鉄道、運営事業者は京阪電鉄である。利用者は京阪電鉄の路線と認識しているはずだ。中之島高速鉄道は、大阪市と京阪電鉄が3分の1ずつ出資し、大阪府が6分の1を出資。残り6分の1を銀行など民間企業57社が出資している。大阪経済界の期待のほどがうかがえる。
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