家具・家電のサブスク「CLAS」の売り上げが、3倍ペースで伸びているワケ:採算より「ビジョン」を優先(6/6 ページ)
家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」(クラス)は、9月に総額約21億円の資金調達を発表した。毎年3倍ペースで成長している同社は、この資金調達でさらなる事業規模の拡大を狙う。どのような暮らしの未来を描き、どのような戦略で事業成長を遂げてきたのか。
「空間の衣替え」を軽やかにかなえる社会に
クラスは、この9月に総額約21億円の資金調達を実施、累計資金調達総額は約28億円となった。採用・組織体制を強化し、対象エリア、及び商品ジャンル・点数の拡大を目指すという。
「商品数は、向こう2年間で10倍以上の拡大を見込んでいます。といっても数だけを追い求めるのではなく、ユーザーのニーズを見極め、必要とされる商品を愚直に増やしていきたい。この成長によりユーザーのQOL(生活の質)を向上させる、あるいは導入企業の生産性を上げることが目標です。
その根底にあるのが、暮らしを自由に、軽やかにするというビジョン。空間に飽きたら、気軽に家具や家電を取り替えられるような暮らし方が、僕らの目指すところ。洋服を着替えるような感覚で、空間設計を楽しんでもらえたらと思います」
現在の課題は、外部へのコミュニケーションであり、「消費者へしっかりメッセージを届けたい」と久保氏。
「社内向けの世界観の浸透は手応えがありますが、消費者とのコミュニケーションは不十分であり、強化しなければと考えています。僕らが目指す世界観、機能的価値だけじゃないサービスのメリットは、まだまだ伝えきれていない。便利でお得といった表面的な価値だけでなく、クラスは自己実現をサポートする要素もあると思っています。丁寧な自社コンテンツの発信などを通じて、多面的な価値を届けていきたいですね」
写真提供:クラス
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