「成果が見えづらい……」 カスタマーサクセス管理の失敗から学ぶ“キャリアパス”の設計法:“顧客との付き合い方”のデザイン法(1/4 ページ)
カスタマーサクセスの需要が高まっている。チームの人数が増えると、マネジメントやキャリアパスの設計に問題が生じることが多い。カスタマーサクセスの管理でよくある失敗例なども踏まえながら、スキルの定義やキャリアパスの設計をどのようにすべきか、考える。
営業・マーケティング職の分業化が進み、カスタマーサクセスの需要が高まっている。
カスタマーサクセスのチームが7〜10人の規模感を超えてくると、チーム内のマネジメント、特にキャリアパスをどう設計するかという問題が浮上する。
本記事では、カスタマーサクセスのチーム運営でよくある失敗例なども踏まえながら、どのようにカスタマーサクセスのスキルを定義し、キャリアパスを設計し得るかという点について、考えていきたい。
カスタマーサクセスの強み
カスタマーサクセスで身に付くスキル・強みは大きく以下の3つに分類できる。
(1)顧客理解
(2)ドメイン知識
(3)オペレーションスキル
その中でも、カスタマーサクセス固有の、他の職種ではなかなか補えないスキルは(1)の顧客理解だろう。カスタマーサクセスは顧客と接する期間が、営業などと比べても圧倒的に長い。
下記に顧客のジャーニーとそれを各組織がどうカバーするかの一例を図示した。図から分かるように、新規営業の期間は限定的なのに対して、カスタマーサクセスがカバーする範囲は契約後に長く続く。
顧客の業務への関わり方も深くなるのがカスタマーサクセスの特徴の一つだ。営業の際は、決裁者とコミュニケーションを取り意思決定につなげることが重要になる。それに対して、カスタマーサクセスは決裁者も当然だが、それ以外のユーザーとも関わり合い、実務を支援することが多い。必然的に業務の理解も深くなる。
この長さと深さにより、「顧客の長期にわたる変化」を最もリアリティーを持って理解できるのがカスタマーサクセスの特権だ。
この顧客理解――顧客は何に価値を感じているか、長期で企業にどのような変化が起こるか、そこで各関係者がどのような状況にありどのような課題を持つのかといったことを深く理解していると、さまざまな事業の発展に貢献できる。
チーム運営の「よくある失敗」
カスタマーサクセスのキャリアパスを大別すると、チーム内で登っていくか、チーム外に活躍の場を求めるかの2つになるだろう。まずは、チーム内でのキャリアパスについて解説する。
カスタマーサクセスのチーム運営で、メンバーのモチベーションの低下や離職などにつながってしまう「よくある失敗」から、あるべきキャリアパスを考えていきたい。
関連記事
- DXとは「すっ飛ばす」こと DXが進まない企業に欠けている視点
DXは間違いなく、現在ビジネスにおけるトレンドワードだ。しかし、その本質を理解している人はどれだけいるだろうか。本記事では350以上の企業などで組織・業務改革支援の経験を持つ沢渡あまね氏が、単なる“デジタル化”では成し得ない、“DXの本質”について解説する。 - 新チームでも飲み会要らず! 1時間・オンラインで「個性や強みを理解し合う」方法とは?
人事やマネジメント層の方は、テレワーク中に入社・異動したメンバーから「入社後しばらくたったが、このチームで働いているという実感が湧かない」「業務以外の会話がなく、常に一人で仕事をしている感覚がする」「困った時に誰に相談すべきか分からない」──といった声を聞くこともあるのではないでしょうか。本記事では、実際に集まらなくてもメンバー同士が1時間で相互理解を深められる方法をご紹介します。 - 1on1ミーティング、研修受け放題サービス導入……なぜ失敗? 良かれと思った育成施策の落し穴
あらゆる人事施策には、メリットとデメリットがあります。他社にとっては良い施策でも、自社で導入してみると合わなかったということも起こり得ます。今回は、マネジメントや人材育成に対する誤解を紹介します。 - カスタマーサクセス立ち上げ、どうしてつまづいた? “3つの失敗”から学ぶ心得
サブスクリプション型の事業を持つ企業にとって、顧客の解約率を下げて売り上げを最大化するため、カスタマーサクセスの考え方は重要だ。カスタマーサクセスの立ち上げ経験を持つ筆者が、立ち上げの際に陥りがちな3つの失敗とその理由について解説する。 - 「顧客が異動したので解約・失注」 その異動は“偶然”か?
顧客担当者が異動してしまったので失注・解約に──法人向け商材を扱う企業であれば、こうした経験は避けて通れない。そうした顧客の喪失は、“偶然”なのだろうか? 本記事では顧客の異動に対してどのように向き合うべきかを解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.