「年功序列」で強い組織はつくれない。北野唯我氏が勧める「強みの経営」:根強く残る背景(3/6 ページ)
「年功序列はもう古い」――。このように言われてから、ずいぶん月日が経つが、いまだ多くの日本企業でこの制度が残っている。たくさんの人が「よくない」と指摘しているのに、なぜはびこっているのか。背景にあるのは……。
強みはどう分類し、どうかけ合わせるべきか
北野氏が訴える「強みの経営」において、肝になるのが「強みの分類」と「強みのかけ合わせ方」だといえる。本書では、強みを「創造性系」「再現性系」「共感性系」の3つに分類し、歴史上の名将たちの強みも3つのいずれかに分類されている。
「創造性系」とは、強い意志と未来を思考し描く力を持つ人、「再現性系」とは、構想を実現するためのシステムを構築できる人、「共感性系」とは、コミュニケーションを得意とし、人たらしの能力を持つ人だ。
これらの強みを把握するには、世界で2500万人以上が使っているという強み分析テスト、「クリフトンストレングス」(以前のストレングス・ファインダー)が役立つとのこと。あるいは、本書にチャート式の強み解析診断が掲載されているため、それを参考にしてもいいだろう。
では、この強みをいかに組み合わせるべきか。北野氏は「強みの経営」の根幹にあるのは、「創造性系」と「再現性系」のかけ合わせだと断言する。
「組織を形作るにあたり、まず『創造性系』×『再現性系』のかけ合わせを最低1ペア、できれば複数ペアつくり、できるだけ組織的に近い距離に置くのがベストだと考えます。すべては、この2人から始まります」
その後、組織を進化させるには、「円形展開」と「線形展開」の2つの展開パターンがあるとのこと。「円形展開」とは上記図のとおり、天才的な意志と発想力を持つ1人の「創造性系」を軸として、複数人の「再現性系」がプロジェクトを実行するパターン。対して、「線形展開」は、「再現性系」を軸に小グループ単位で、組織を体系化するパターンだ。
「天才肌の創業社長が率いる企画中心の帝国企業なんかは、まさに『円形展開』。組織構造はシンプルですが、人数に上限があるのがデメリットです。一方、『線形展開』は一般企業の組織構造と同様です。この場合、各チームをつなぐ人物が必要で、高い目標に向かってメンバーをけん引できる人(再現性系)、あるいは、周囲に慕われるコミュニケーションがやわらかい人(共感性系)のどちらかになります」
なお、本書では、「創造性系」「再現性系」「共感性系」の3つの強みをさらに細分化し、10の強みに分類して紹介している。より具体的な強みの分類を把握したい場合は、参考になりそうだ。
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