「年功序列」で強い組織はつくれない。北野唯我氏が勧める「強みの経営」:根強く残る背景(4/6 ページ)
「年功序列はもう古い」――。このように言われてから、ずいぶん月日が経つが、いまだ多くの日本企業でこの制度が残っている。たくさんの人が「よくない」と指摘しているのに、なぜはびこっているのか。背景にあるのは……。
強みを評価するための「成果」とは何か
多くの日本企業では、年功序列が根強く残り、実力主義を貫く企業は多くないかもしれない。日本で実力主義がうまくいかない理由について、北野氏は2つの理由をあげた。
「1つは、実力主義を徹底できないこと。表向きには実力主義を掲げていても、経営陣や古株社員は実力だけで評価されることを嫌がっている。だから中途半端な人事制度になります。もう1つは、実力の定義が難しいこと。一時期、多くの企業が個人目標の達成度に基づいた人事評価を取り入れ、実力主義に移り変わった時期があったと思いますが、その結果、組織がギスギスしてしまった。誰も成功やナレッジのシェアをしなくなり、組織がボロボロになった結果、年功序列に戻ったと私は認識しています」
北野氏の考えでは、個人目標の達成度だけでは人事評価の基準として不十分であるため、成果を明確に定義する必要があるとのこと。マネジメントの父とも称されるピーター・ドラッカーの定義に基づき、「直接の成果」「価値への取り組み」「人材の育成」の3つを成果の定義とすべきだという。 その内容は以下のとおりだ。
(1)直接の成果:組織にまず必要な「売り上げ」「利益」
(2)価値への取り組み:競争優位となる源泉をつくる
(3)人材の育成:組織が長く生き続けるための変革
「多くの企業では、個人目標の達成度といった『直接の成果』だけを人事評価の基準に定めているように思います。しかし、本来、組織を発展させるには、他社と差別化して自社のブランド力を上げるための『価値の取り組み』に加え、『人材の育成』にも注力しなけらばなりません。この成果の定義ができていないと、組織のバランスが崩れてしまいます」
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