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「年功序列」で強い組織はつくれない。北野唯我氏が勧める「強みの経営」:根強く残る背景(5/6 ページ)
「年功序列はもう古い」――。このように言われてから、ずいぶん月日が経つが、いまだ多くの日本企業でこの制度が残っている。たくさんの人が「よくない」と指摘しているのに、なぜはびこっているのか。背景にあるのは……。
すぐれた名将は「修羅場」を経験している
これまでの内容で、組織の根幹を担う人物は、強い意志と未来を描く力を持つ「創造性系」、または、構想を実現するためのシステム構築能力を持つ「再現性系」のスキルが必要だと伝えてきた。加えて、リーダーは「修羅場経験」を積むことが求められるそうだ。歴史を振り返っても、すぐれた将軍はすべからく厳しい現場を経験していると北野氏は指摘する。
「例えば、毛利元就や曹操は、若いうちに修羅場経験を多く積んでいます。これがなぜ重要かというと、人間の本質を深く理解することができ、同時に粘り強さを得られるから。人間は、追い込まれたときにこそ本質が出ます。その姿を目の当たりにすると、どんな人を採用して、どのように配置するべきかの重要性を恐ろしいほど実感します。
また、リーダーとしてメンバーを引っ張っていくには、崖っぷちの状態になっても、希望を抱き続けなければならない。こういった精神状態は、頭ではなく肉体で体感しないと分からないと思います」
北野氏自身、ワンキャリアの取締役を務めるなかで、組織の人間関係の課題や売上減の危機など多くの修羅場を経験。そのおかげで、リーダーとしての意志が磨かれていったと語る。
「どんなにキツい状況でも、未来を見なければ人は付いてこないし、粘り強くやり続けるしか困難を突破できる道はない。修羅場を乗り越えるたびに、確実に意志が強くなったと思います」
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