みんなの銀行は、ネット銀行と何が違う? 銀行なのに絵本のようなアプリ:金融ディスラプション(3/3 ページ)
福岡地域の地銀グループ、ふくおかフィナンシャルグループ傘下として、「デジタルバンク」をうたい5月に開業したのがみんなの銀行だ。銀行らしからぬ、まるでフィンテックスタートアップのようなアプリのUIUXはどうやって生まれたのか? またみんなの銀行は何を目指すのか。みんなの銀行のIT責任者である宮本昌明氏に聞いた。
10年後の銀行はどうなるのか?
地銀は、構造的な苦境が言われて久しいが、その傘下から、こうした新たな取り組みが登場してくるのは、これまでのお堅い銀行のイメージとは違う。ゼロから作っただけにしがらみもなく、裏側のインフラも、アプリのUIUXも最先端を取り込んだ。
しかし、銀行ビジネスとしてみた場合、果たしてネット銀行とは何が違うのか。みんなの銀行はスマホ専業で、Webからサービスを使うこともできないし、プラスチックのキャッシュカードやデビットカードも提供しない。これなら、スマホアプリ”も”提供しているネット銀行のほうが便利ではないか?
「ネット銀行は、単にリアル銀行のチャネルがインターネットに移っただけ。サービスも何もかもリアル店舗にあるものがネットに乗っただけだ。既存の銀行サービスや、売り方、見せ方、すべてにおいて、デジタル世代に対してどんなサービスがいいのかを、ゼロから考えるというのが大きく違う」と宮本氏は言う。
現時点では、銀行の預金と送金(為替)という基本機能を盛り込んでサービスを開始したところで、「いまネット銀行とどこが違うかといわれると苦しいが、これからベース機能をもとに、展開していく」(宮本氏)ということだが、考え方として話した中にヒントもありそうだ。
例えば、振込手数料について宮本氏はこう言う。「振込手数料は銀行側の都合でお金を取っている。お客さまはお金を送ることをしたい。振込自体に価値を感じてはいない」
1994年にビル・ゲイツは「銀行機能は必要だが、今ある銀行は必要なくなる」といった。既存の銀行のモデルが行き詰まりを見せる中で、この言葉どおり、銀行のあり方が大きく変わろうとしている。最後に、10年後の銀行はどうなっていると思うか、聞いてみた。
「10年後なんて分からない。ただ普遍的だと思うのは、銀行が何かを提供するというのは、銀行目線の言い方。『知らないうちに銀行が後ろで便利にしてくれていた』という世界だと思っている。銀行としての存在感を大きく出していくのではなく、いかに暮らしに溶け込んだアプリにしていけるかだ」
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