写真業界は苦戦しているのに、「セルフ式の撮影」が好調の理由:「実証実験」の結果(1/4 ページ)
プロカメラマンによる撮影や現像などを手掛ける写真業界が苦しんでいる。新型コロナによるイベント自粛などの影響を受け、売り上げが低迷しているわけだが、そんな中で「キラーン」と輝くサービスが出てきた。セルフ式の写真撮影だ。どんなサービスかというと……。
「笑顔で〜、おっ、いいねえ! 次はこっちを向いてくれるかな。パシャ、パシャ、パシャ」――。
プロカメラマンによる撮影や現像などを手掛ける写真業界が苦しんでいる。東京商工リサーチの調査によると、2019年度(19年4月期〜20年3月期)の売上高は1820億5300万円で、前年度比4.5%も減少している。
20年度に入っても、苦しみは続く。新型コロナの感染拡大によって、学校の行事や結婚式など中止が相次ぎ、1〜9月期の倒産は19件(前年同期比72.7%増)と急増していて、「過去5年間で最多ペースで推移している」(東京商工リサーチ)。業界天気図でいえば、「雨」(市場が縮小、短期的な業績回復が見込めず悪化傾向)といったところだろうか。
では、プリントシール機(プリクラ)はどうだろうか。ご想像の通り、こちらの天気は「雨(または曇り)」が20年ほど続いている。1995年にアトラス社が「プリント倶楽部」を発売し、あっという間に大ブームに。日本アミューズメント産業協会によると、プリントシール機の売上高は97年に1000億円を超えたものの、その後、市場はしぼんでいき、ここ数年は200億円ほどで推移している。
プロカメラマンによる写真撮影やプリントシール機、いずれも未来の明るい姿を描くことが難しい中、「新たな鉱脈になるのではないか?」と注目されているサービスが登場した。自分でスイッチを持ってシャッターを切る「セルフ式の写真撮影」だ。
このサービスは数年前、韓国で産声をあげて、若者を中心に人気を集めている。プロカメラマンに撮影をお願いしても「思ったモノと違うなあ」とガッカリしたことがある人もいるはず。シャッターを切るタイミングが合わなかったり、想定していた構図と違っていたり。そんな不満を感じている人たちに、支持されるのではないか。このように考えた人もいたようで、セルフ式の写真撮影は昨年、日本に上陸。その後、じわじわ増えつつあるのだ。
関連記事
- トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?
首都圏のオフィスで、ある「実証実験」が行われた。トイレの個室に「他の個室の使用状況」と「滞在時間」を表示したところ、どういった効果があったのだろうか。システム開発を手掛けているバカン社の河野社長に話を聞いたところ……。 - 発売前に現行モデルの5倍! パナの電動工具が売れに売れている理由
パナソニック ライフソリューションズ社の電動工具が売れている。新ブランド「エグゼナ」を立ち上げて、フラッグシップモデル「Pシリーズ」を発売したところ、販売目標を大きく上回る結果に。売れている理由を取材したところ……。 - 表参道に「IoTゴミ箱」を設置して1年、ゴミはどうなったのか
2020年10月、表参道の歩道に「IoTゴミ箱」が登場した。あまり聞きなれない「IoTゴミ箱」とは、どんな特徴があるのか。また、1年ほど運用してみて、どのようなことが分かってきたのだろうか。 - キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。 - すぐに完売! 1枚焼きの「ホットサンドソロ」は、どうやって開発したのか
食パン1枚でつくるホットサンドメーカーが売れている。その名は「ホットサンドソロ」。新潟県にある「燕三条キッチン研究所」が開発したアイテムだが、どのようにしてつくったのか。担当者に話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.