写真業界は苦戦しているのに、「セルフ式の撮影」が好調の理由:「実証実験」の結果(2/4 ページ)
プロカメラマンによる撮影や現像などを手掛ける写真業界が苦しんでいる。新型コロナによるイベント自粛などの影響を受け、売り上げが低迷しているわけだが、そんな中で「キラーン」と輝くサービスが出てきた。セルフ式の写真撮影だ。どんなサービスかというと……。
よく分からない中で“実証実験”
こうした状況が広がっていることを受け、写真事業を手掛けている会社も黙っていない。全国に44カ所のスタジオを展開する「キャラット」(奈良県香芝市)もその一つ。「これは大きなビジネスになるかもしれない」「いや、日本でどこまでウケるのか」といった声があった中で、同社が出した答えは「まずはテストマーケティングとして、東京と大阪で始めてみよう」だった。
7月15日、東京のオフィスにセルフ写真館「Original」(原宿店)を、7月22日にはNU茶屋町店内に梅田店を、それぞオープンした。15分間撮り放題で、料金は1人1500円。帽子や花束などのアイテムを用意していて、撮影した全データはその場で渡している。
新しい事業を展開するにあたって、本来であれば大々的な花火をぶち上げたい。しかし、時はコロナ禍。感染が広がっていたこともあってPRすることが難しく、「利用者がどのくらいいるのか」よく分からない中で“実証実験”がスタートした。で、結果はどうだったのか。結論から先に紹介すると、「想定以上だった」のだ。
当初、9月30日までの期間限定としていたが、早々に延長を決定。現在、全国に7店舗を構えているわけだが、最も好調なのは原宿店だそうだ。全店の利用者は約3500人なのに、うち原宿店だけで1600人ほど(10月4日現在)。スタジオの稼働率を見ると、実に80%を超えているのだ。
セルフ式の写真撮影は好調な滑り出しを見せたわけだが、利用しているのはどんな人たちなのだろうか。先ほど紹介したように、発祥の地・韓国では若者を中心にブームが広がっていったわけだが、日本でも同じような動きをしている。最も多いのは「16〜20歳」、次いで「21〜25歳」。サービスを始める前、「プリクラのように気軽に利用する人が多いのでは?」(同社の担当者)と予想していたが、実際フタを開けてみると、誕生日や大切な記念日などに利用する人が多いようだ。
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