写真業界は苦戦しているのに、「セルフ式の撮影」が好調の理由:「実証実験」の結果(3/4 ページ)
プロカメラマンによる撮影や現像などを手掛ける写真業界が苦しんでいる。新型コロナによるイベント自粛などの影響を受け、売り上げが低迷しているわけだが、そんな中で「キラーン」と輝くサービスが出てきた。セルフ式の写真撮影だ。どんなサービスかというと……。
人気の秘密
それにしても、なぜ日本でもセルフ式の写真撮影が人気を集めているのだろうか。キャラットの広報を務める鈴木早百合さんに聞いたところ、3つのポイントを挙げた。1つめは「コロナ禍にオープンしたことが大きかった」とのこと。
「ん? 感染が広がると“逆風”が吹いているのでは?」と思ったが、実は逆。新型コロナの広がりで、多くのイベントは中止に。結果、写真を撮ることも減少。「ちゃんとした写真を撮って、夏の思い出を残したい」という気持ちが高まって、利用する人が増えたというのだ。
2つめは「『自分でシャッターを押す』という“体験”がウケたのではないか」とのこと。確かに。スタジオに入れば、プロのカメラマンがパシャパシャと撮影してくれる。経験したことがない人でも、そのように想像するはずだが、「自分でシャッター押す」という新鮮さも魅力の一つになったのかもしれない。
3つめは「韓流ブームは若者の間で続いていて、抵抗なく受け入れられたのではないか」とのこと。生まれたときから韓国ドラマや料理などが身近にある世代なので、気軽に「ちょっと撮ってみようよ」といった人が多いのかも。そーいえば、若い男性の間で「センター分け」と呼ばれる髪型が増えているそうで。K-POP風の容貌を意識して、前髪を真ん中あたりで分けるスタイルが流行っているそうだ。
そんなこんなで、「はい、チーズ」(ちょっと古い?)と言って、自分で写真を撮る。このスタイルの事業は好調な滑り出しと言えそうだが、懸念が一つある。自分でシャッターを押す人がどんどん増えていくと「これでいいじゃないか」「いや、これがいいんだよ」といった声が強まるはず。となると、同社のメイン事業である「プロによる撮影」がじわじわ衰退していくのではないだろうか。
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