「自動運転バス」実用化から約1年、茨城県境町の変化は?:自治体初(3/6 ページ)
2020年11月、自治体初の事例として自動運転バスを3台導入し、定時・定路線での運行を始めた茨城県境町。21年8月より停留所の数を16カ所に増やして、土日の運行も開始した。約1年間の実用化によって、町にどんな変化があったのか。
自動運転レベル2を搭載。ドライバーと遠隔監視の2人体制
さかいアルマは、町役場、銀行、小学校など町の中心部を通る往復約6〜8キロメートルのルートを午前9時25分〜午後4時48分まで運行。主なルートの速度制限が時速30キロメートルのところ、さかいアルマは20キロメートルとしている。今夏から路線を延伸、あるいは新設して、高速バスターミナルや人気の観光施設にも接続。土日の運行も開始され、町民の足として利便性が高まりつつある。
自動運転技術はレベル1〜5までのうち、2に該当する。レベル2まではドライバーが監視、レベル3以降はシステムが監視するという大枠の基準に則り、ドライバーが同乗する境町の運行はレベル2の扱いとなる。しかし、実際は「特定条件下において完全自動運転が可能」なレベル4に相当し、設定された区間においては自動運転で問題なく走行できるという。
「現状、さかいアルマは『信号連携』と『路上駐停車の回避』の2点においてシステムでの対処が難しく、ドライバーが処理しています。信号機への対処は技術的には可能ですが、実装するには本体を通信できるものに変更しなければならず、多くの予算を要します。これは、信号機から『何秒後に色が変わるという情報』を自動運転車に送信するためです。
カメラを使って色を識別することもできますが、前に背の高い車両が走っているなど信号機が見づらい状態になることもある。そう考えると本体の整備がベストですが、現状は国による整備の予算措置が行われていない。そのため、ドライバーが手動で『止まる』『進む』の処理をしています。
また、現状の設定では決められたライン上を走ることしかできないため、ライン上に路上駐停車があると止まってしまう。この急停止を避けるために、ドライバーが操作しています」
車内のドライバーに加え、遠隔監視のオペレーターも1人存在する。オペレーターは、急停止などのアラートが出た際の状況確認、乗客とのコミュニケーションなどを担当。例えば、後ろから車が追い越してきたり、道を曲がる際に対向車が勢いよく走ってきたり、他の車が接近したタイミング、あるいは人や自転車などがバスの前に飛び出してきたときなどは、急停車する。大体、1便に1回ほどの急停車が起きているそうだ。
ボードリーとしては、将来的に無人運転となることを想定して、現状はドライバーと遠隔オペレーターのダブルチェックを実施しているという。
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