「自動運転バス」実用化から約1年、茨城県境町の変化は?:自治体初(4/6 ページ)
2020年11月、自治体初の事例として自動運転バスを3台導入し、定時・定路線での運行を始めた茨城県境町。21年8月より停留所の数を16カ所に増やして、土日の運行も開始した。約1年間の実用化によって、町にどんな変化があったのか。
町民の暮らし、経済はどう変わった?
20年11月の導入から間もなく1年。町民の暮らし、経済はどのように変化したのだろうか。境町では導入してから大きな混乱や反発もなく、むしろ町民からは以下のようなポジティブな声が多く寄せられているそうだ。
「地域を循環するさかいアルマのおかげで、子どもの習い事などへの送り迎えがなくなり、親の負担が減った」(30代女性)
「導入前は、通学路で速度超過している車が多く心配だったが、さかいアルマが時速20キロメートル未満で走ることで、地域のペースメーカーとなり、他の車が速度を守るようになった」(30代女性)
「免許を返納していて1人での移動が難しかったが、買い物、銀行、郵便局などに行けるようになった。ルートの拡大に期待している」(60代女性)
「近くにバス停ができたことで、オープンした飲食店に新しいお客さんが来てくれていると感じる」(30代男性)
導入の際は、町と協力して自動運転バスを導入する旨を知らせるチラシを配ったり、必要に応じて説明したりしたという。当初は、路上駐停車の多さが課題だったが、導入して6カ月後にはほぼなくなり、現在はスムーズに走れるようになったそうだ。加えて、中島氏は町全体が活性化している点にも言及した。
「人の流れが増えたという声が各所から聞かれます。道の駅などの観光スポットが以前よりにぎわっていたり、道路を走る車の数が増えたり。自動運転バスに乗りたい、見てみたいという理由で町外から訪れる人もいますね。町内に複数の観光施設をつくり、それらをつなぐ移動手段を整えたこと、先進的な事例としてメディアやガイドブックに大きく取り上げてもらえるようになったこと。これらが重なり、経済効果につながっているように思います」
一部、「さかいアルマの挙動が遅い」などのネガティブな声や特殊な状況下でのエラーは出ているが、大きなトラブルにはつながっていないとのこと。
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