イクラ盛り放題は当たり前? ホテル朝食“激戦区”の北海道で見た驚きの朝食原価:瀧澤信秋「ホテルの深層」(3/5 ページ)
北海道では、リゾートホテルやビジネスホテルでも海鮮朝食が花盛り。その内容たるや「こんなに出してやっていけるのだろうか?」とこちらが心配になるほどだ。今回はそんな北海道のホテル朝食事情を見ていく
ディナーブッフェでは“ウニ”や“ボタンエビ”まで
さらに、ベイエリアを中心とした函館市街に加え、もともとおいしい朝食を提供すると評価されている、旅館形態の多い湯の川温泉方面のホテルへも海鮮朝食合戦は飛び火してきた。21年7月に開業した「函館湯の川温泉 海と灯/ヒューイットリゾート」は驚がくだ。
こちらはセンチュリーマリーナ函館と異なりディナーブッフェも提供していて、海鮮ブッフェとしても珍しい“ウニ”や“ボタンエビ”まで並ぶ。その他、カニ、イカといった定番メニューに加え、ツブ貝や、見るからに新鮮なカンパチなど数え切れないほどの海鮮が圧巻だ。
朝食もしかり。さすがにディナーで提供していたウニやボタンエビはなかったが、イクラにブリをはじめ、マグロのクオリティーも高い。
センチュリーマリーナ函館ではスパークリングワインをフリーフローで提供していたが、海と灯ではスパークリングワインに加え、赤・白ワインもフリーフローで提供していた。朝からワインとは……ではあるが、ゲストに好評だという。こうなると、センチュリーマリーナ函館を徹底リサーチして超えるブッフェで挑んできたのか? と勘ぐってしまいそうだ。
開業間もないことや夕食ブッフェも提供していることから、朝食だけの原価に触れることは控えるが、朝食だけにフォーカスしても相当な原価であることは間違いない。温泉と共に朝食自慢というのはご当地のスタイルとしてもはやスタンダードといえる。
ドーミーインでもイクラを提供
前記したベイエリア3ホテルの一つ、「ラビスタ函館ベイ」は、長年にわたり各種朝食ランキングで上位に入る常連ホテルである。運営会社の共立メンテナンスは、温泉施設や夜鳴きそばでも広く知られるビジネスホテル「ドーミーイン」も手掛けている。
ドーミーインも朝食が充実したホテルとして広く知られ、全国規模の多店舗の展開チェーンにして均一的なクオリティー担保をしているのはやはりすごい。
今回はあえて函館エリアを外し、室蘭市の「天然温泉 幸鐘の湯 ドーミーイン東室蘭」へ出向いてみた。函館ではない立地、朝食という意味ではエリア内に競合ホテルもみられないが、やはりイクラを提供していた。
期間限定で釜揚げしらすと桜エビ丼もあったが、北海道というだけで海鮮に対するゲストの期待値は高いという。他方、ご当地名物“室蘭やきとり”の実演なども充実しており、全国規模のチェーンとしての矜持(きょうじ)と表せるかもしれない。
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