性行為後に男を食べて妊娠するSF小説『ピュア』とその翻訳版が「1点もの」NFTに 狙いは?(2/3 ページ)
SF小説『ピュア』(作・小野美由紀)と、その2種類の英訳版が、それぞれ「一品もの」のNFT(ノン・ファンジブルトークン)としてオークションに出品された。小説をNFTにする先行事例は存在している。しかし日本のSF小説で、しかも英訳版を公開するプロジェクトは今回が初めてと見られる。
NFTは「一品もの」デジタルアートを可能とする
NFTは、21年のアートシーン、そしてテクノロジー好きの人々の間で大きな話題となった。ブロックチェーンとひも付いた「一品もの」のデジタル資産を、仮想通貨建てで取引可能とする仕組みがNFTだ。17年頃から、一部の仮想通貨(暗号資産)の関係者の間ではNFTの話題は知られていた。21年3月、「一品もの」のデジタルアート——Beeple(デジタルアーティストMike Winkelmannのアーティスト名)の作品「Everydays: the First 5000 Days」のNFTがクリスティーズのオークションで約6900万ドル(約75億円)と高額で落札されたことはアート界でも大きな話題となった。
こうしたNFTの話題はビジネス上のつながりを経由して小野氏にも伝わった。小野氏はこう語る。「14歳から、自分のエッセイや小説をエッセイや小説を掲載するWebサイトを公開していた。Blogがバズったので文筆の道に入った。最初の出版は14年の絵本『ひかりのりゅう』で、これは11年に当時としては珍しかったクラウドファンディングを募った企画から始まっている。ネット上で、自力で、権威的なところから離れて創作する文化に親和性があり、『早くやりたがり』なところがある。NFTにも直感で面白さを感じた」
NFTアートが高額で落札される話は、アートオークションの一種だと考えれば比較的理解しやすい。では小説のNFTにはどういう意味があるのだろうか。
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