「もしもし」の声はどこからなのか? コロナ禍、コールセンターの“いま”:週末に「へえ」な話(2/4 ページ)
コールセンターで働く人の離職率は高い。こうした課題に対して、運営会社はどのように対応しているのだろうか。国内外で166の拠点をもつ、トランスコスモスに聞いたところ……。
普及をはばむ、2つの要因
いまでは「テレワーク」「在宅」といった言葉は、当たり前のように使われているが、10年ほど前にこうした言葉を耳にすることはほとんどなかった。米国の先進的なIT企業が導入していることが報じられても、それを見た多くの人は「まあ、自分には関係ないや。今日も出社、明日も出社」といった日常を送っていたはずである。
そんな状況の中で、トランスコスモスはどんな取り組みをしていたのだろうか。同社でコンタクトセンターを統括している岩浅佑一さんに聞いたところ、「在宅で働いていた人たちは市場調査など、ものすごく簡単な業務をやっていました」とのこと。当時、任せられる業務はかなり限定されていたわけだが、その背景には2つの課題があったからだ。
1つは、オペレーターの管理が十分にできなかったこと。例えば、いまどんな話をしているのか、どういったトラブルに巻き込まれているのか、どんな作業をしているのか、といったことが分からない。セキュリティも不十分な面があったので、そうしたリスクを考えると、業務範囲は限られていたのだ。
もう1つは、クライアント側のメリットである。在宅ワークの導入を提案しても、「ふーん、で、ウチにどんなトクがあるの?」と聞かれる始末。この質問に対し、説得できる材料が十分にそろっていなかったこともあって、普及がなかなか進まなかったのだ。
オフィスと同様の環境で、同じ業務ができるのであれば問題ないかもしれないが、オペレーターがどういう状況で働いているのかよく分からない。セキュリティも不安を抱えている状況であれば、在宅ワーカーがなかなか増えないのは当然である。事実、このとき家で仕事をしていたのは、1%もいなかったという。
じゃあ、その後、どうなったのか。クラウドの導入などで、少しずつオフィスと同じことができる環境に。テクノロジーの進歩によって、家でできることを増やし。新しい技術が登場すれば、それを導入して、また家でできることを増やし。そんな地道な作業を繰り返し、2020年8月には在宅ワーカーが1500人を超えた。その後も増えていき、直近では2500人ほどに。国内で働くオペレーターの10%ほどが家で作業をしていることになる。
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