えっ、ベッドや机が天井から降りてくるの? 米国の元アップル社員が挑む「住宅革命」:日本進出も視野(5/5 ページ)
米国のスタートアップが「Bumblebee Spaces(バンブルビー・スペース)」が天井収納の家具ユニットを提供している。ベッドや机などが天井に収納されており、スマートフォンや音声で操作すると、それらが天井から自動で降りてくるのだ。同社の創業メンバーであるSankarshan Murthy (サンカルシャン・ムルティ)氏にビジネス戦略を聞いた。
2022年末をメドに日本進出を目指す
住宅革命ともいえる斬新なサービスを提供するバンブルビー社は、投資家からも熱視線を注がれており、テスラやスペースXにも投資するValor Equity Partners(バロー・エクイティ・パートナーズ)やToyota Ventures(トヨタベンチャーズ)などから総額24億円を調達している。
トヨタベンチャーズの最高責任者、かつボードメンバーのJim Adler(ジム・アドラー)氏に投資した理由を尋ねると、「スマートデザインとロボティクスを活用して都市部に住む人々を支援するバンブルビー社のアプローチに感銘を受けたため。テクノロジーが人々の生活の質を向上させている素晴らしい例だ」とコメントした。
さらに、トヨタベンチャーズでは「バンブルビー社にとって、日本は理想的な市場」だと考えているそうだ。ムルティ氏も同様に、「日本はターゲット市場の一つだ」と話す。
「日本をはじめ、アジア各国から問い合わせがあり、アジア市場での手応えを感じています。トヨタベンチャーズ社から投資を受けていることもあり、すでにいくつかの日本企業とはプロジェクトに発展しています。2022年末から23年初頭までには日本に進出できると思います」
グローバル展開を実現するには、現地で影響力を持つデベロッパーとのパートナー契約や安定した商品の供給、メンテナンスの体制構築など、クリアーすべき課題は多い。ただ、居住スペースの課題を抱える都市部では、画期的なソリューションになりえるはずだ。
「いずれはキッチン家具、子ども部屋の家具など、あらゆるモノを天井収納できる世界観を目指しています。現在は住宅に重点を置いていますが、オフィスの会議室など活用の範囲を広げることも可能です。1人当たりが所有する住宅の面積が小さくなれば、地球全体に良い影響を与えることができる。これが持続可能性につながると私たちは考えています。まずは米国とカナダ、その後は日本を含めたアジアでも展開を加速します」
写真提供:バンブルビー・スペース
関連記事
- イケア、都内で「家賃99円」のアパート入居者を募集
イケア・ジャパンが、家賃99円の狭小アパート入居者を募集している。都内にあるロフト付き3.5帖の洋室で、イケアの家具が付いてくる。 - どこでもドアならぬ、どこでも窓「アトモフウィンドウ」が昨対比4倍で売れているワケ
コロナ禍で約4倍に販売数を伸ばしているという、世界とつながる窓「アトモフウィンドウ2」。独自に撮影した世界各国の映像動画を写すことができる窓は、どこでもドアならぬ、「どこでも窓」のよう。コロナ禍での需要増や事業戦略を聞いた。 - 真っ先に変えるべきは日本人の「思考」 オードリー・タンが貫く「透明性」と「多様性」
新型コロナの封じ込め戦略など、台湾の存在感が抜きん出ている。その中心人物として活躍しているのが、デジタル担当政務委員大臣のオードリー・タン氏だ。コロナ禍を通じて、日本が台湾に学ぶべきことは何か。 - トイレ界のスタバを目指す! 東南アジアに広がる「1回33円」の有料トイレ
タイやベトナムなどで、有料の公衆トイレが人気を集めている。運営しているのは、スイスの会社「ミスター・ルー」。1回33円の有料トイレはどんなところなのか。共同創業者の2人に話を聞いた。 - 「日本のアニメ」は家電や邦画と同じ道を歩んでしまうのか
技術や品質が「下」だとみくびっていた相手に、いつの間にか追い抜かれてしまう。そんな悪夢がやって来るのだろうか。白物家電や邦画が追い抜かれたように、「日本のアニメ産業」も負ける日がやって来て……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.