えっ、ベッドや机が天井から降りてくるの? 米国の元アップル社員が挑む「住宅革命」:日本進出も視野(4/5 ページ)
米国のスタートアップが「Bumblebee Spaces(バンブルビー・スペース)」が天井収納の家具ユニットを提供している。ベッドや机などが天井に収納されており、スマートフォンや音声で操作すると、それらが天井から自動で降りてくるのだ。同社の創業メンバーであるSankarshan Murthy (サンカルシャン・ムルティ)氏にビジネス戦略を聞いた。
気になる価格はベッドが128万円。サブスクモデルも
バンブルビー社のサービスには、商品の設置からカスタマーサービス、永久保証のメンテナンスにいたるまでの一式が含まれており、不動産オーナーやデベロッパー向けのB2B、一般顧客向けのB2Cともに展開している。
現状はデベロッパーと戦略的パートナーシップを結び、マンションなどの部屋に設置して、住民に貸し出すケースが多いとのこと。その場合、デベロッパーがツール一式を購入し、住民にはサブスクモデルで提供される。通常の家賃に使用料金が上乗せされ、米国での料金は使用家具の範囲に応じて、99ドル(約1万1000円)〜299ドル(約3万4000円)となる。
米国での購入価格は、デスクが3000ドル(約34万円)、キングサイズベッドが1万1250ドル(約128万円)、キングサイズベッドと収納2つで1万8750ドル(約214万円)で、収納が4つ、6つのタイプもある。この価格内に設置やメンテナンスといった一式が含まれる。
魅力的なサービスではあるが、一般顧客はなかなか手を出しづらい高価格帯だ。そこで、同社はデベロッパーなどのB2Bに販売し、一般顧客には手軽なサブスクモデルで提供しているようだ。
現在の顧客は、高級住宅を扱う米国のデベロッパーが中心で、マンハッタンで豪華なコンドミニアムを提供する「77 Charlton」やニューヨークで洗練された住宅を提供する「The Smile」など。あるデベロッパーでは、バンブルビー社の家具を導入したことで、賃貸や販売が活発になったデータもある。同社の家具を導入していない部屋に比べて、導入した部屋の販売率が20%上昇し、小規模の部屋を売りやすくなったそうだ。
「これまでに有料のマーケティングは一切行っていません。WebサイトやSNS、あるいはメディアでの写真や動画が反響を呼び、相当数の問い合わせや取材依頼が舞い込むように。私たちのセールスマンは、商品そのものです」
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