えっ、ベッドや机が天井から降りてくるの? 米国の元アップル社員が挑む「住宅革命」:日本進出も視野(3/5 ページ)
米国のスタートアップが「Bumblebee Spaces(バンブルビー・スペース)」が天井収納の家具ユニットを提供している。ベッドや机などが天井に収納されており、スマートフォンや音声で操作すると、それらが天井から自動で降りてくるのだ。同社の創業メンバーであるSankarshan Murthy (サンカルシャン・ムルティ)氏にビジネス戦略を聞いた。
AIなどの先端技術を使った「進化する」家具
バンブルビー社の家具の特徴として、AIをはじめとした先端技術を駆使した独自のソフトウェアの活用もあげられる。
それぞれの家具には、自動運転技術などに使われるLiDAR(ライダー)、高度なモーターや制御システム、深度センサーなどが備わっていて、それらは安全性を担保するうえで重要な役割を果たす。例えば、家具を降ろす際に周囲に障害物がある場合、自らそれらを検知して一定の高さでストップする。ベッドに人が寝ているときに収納の指示を出したとしても、同様に一定の高さまでしか上がらない。地震が起きた際は、エレベーターと同様に素早くロックされる仕組みだ。
収納にはAIとカメラも搭載されており、その中身をスマートフォン上で閲覧できる。収納物の在庫状況や出し入れしたタイミングを識別する機能も。例えば、長期間利用していないアイテムを通知したり、在庫が薄くなったトイレットペーパーを自動で注文したりできる。ムルティ氏は、これらのテクノロジーこそ自社の強みだと強調する。
「動かせる家具を提供する企業は多くありますが、テクノロジーと統合して、人々の好みに適応する利便性を提供しているのは、当社だけかもしれません。テクノロジーに強く使命感のあるメンバーを集め、納得できる技術が世の中に出てくるまで導入を待ったことにより、精度の高いソフトウェアを開発できました」
ソフトウェアはすべて自社で開発しているが、製品の製造はグローバルに展開するサプライチェーンに委託しているという。家具の重さが均等に分散されるよう考慮し、30年ほどの使用に耐えうる耐久性のある製品に仕上げているとのこと。
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