急成長スタートアップはどんなSaaSを使ってる?:アンドパッド編:あの企業が使うバックオフィスSaaS(3/3 ページ)
急成長スタートアップは、どんなバックオフィスSaaSを導入し、どう活用しているのか。第1回のLegalForceに続き、第2回は建設業界のDXを推進するアンドパッドに聞いた。
法務にクラウドサインとLegalForceキャビネ
契約書の管理にはLegalForceキャビネを使っている。「スプレッドシートなどで更新する手間がなく、契約期限の更新時にお知らせがもらえる」と経営戦略本部の法務部長、アライアンス推進部長の岡本杏莉上級執行役員は評価する。直近4カ月で契約の発生件数が増加したのがきっかけだ。業務委託契約やパートナー契約など、月間30件ほどの契約を管理しなくてはいけないことから導入を決めた。
電子契約にはクラウドサインを使っており、そのデータをそのまま流し込めるところが便利な点。顧客以外との契約については、同社から電子契約締結を依頼するときは基本的にクラウドサインを使っている。取引先からの契約も、すでに2〜3割は電子化されており、今後さらに利用率を上げる予定だという。また、顧客と交わす自社サービスの利用契約については顧客管理ツールとの親和性からDocuSignを使用しているが、こちらもほぼ電子化が完了している。
紙でもらった契約書はスキャンして以前から電子データとして保管していたが、契約書台帳を作成する手間があった。LagalForceキャビネのOCR機能とAIによるデータ抽出により、この手間のかかる作業もほぼ自動化できたという。
「OCR機能は事前の評判通り。手書きの部分など、完璧には読み取れないこともあるが、手動補正機能があって、それを使えば基本的に修正される。自社のリソースを割かずにより完璧に取り込んでくれるサービスもあったが、当社が求める要件と価格のバランスを勘案した結果、LegalForceキャビネが最もマッチした」(岡本氏)。また、外部に契約書の電子化までアウトソースしてしまうと、自社のフットワークが重くなるというのも理由だ。
残りは人事のエンタープライズ系くらい
いったん必要なSaaSは導入できたというのが青木氏の見立てだ。すでに紙を見るのは一部の契約書くらいになっており、ペーパーレス化も一段落した。
ちなみにグループウェアにはGoogle Workspaceを使い、ワークフローにはGoogle Workspaceを拡張する「rakumo」を導入している。社内チャットは「Slack」、そして情報共有には「Confluence」を活用している。
当連載では、各社がどんなSaaSをバックオフィスに導入しているのか、その実態を聞く。自社の利用しているSaaSについて話していただける企業があったら、ぜひ編集部まで連絡してほしい。
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