連載
次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/8 ページ)
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。
JR九州は新幹線と観光列車で需要喚起
新幹線開業と連動した観光列車開発はJR九州の得意芸だ。04年の九州新幹線が新八代〜鹿児島中央間で部分開業したときは、熊本〜吉松間の「いさぶろう・しんぺい」に観光車両を投入し、吉松〜鹿児島中央間に特急「はやとの風」を運行開始した。
11年の九州新幹線全線開業時には、熊本起点の「A列車で行こう」「あそぼーい!」、鹿児島中央起点の「指宿のたまて箱」を運行開始。JR九州の観光列車たちが広くメディアで紹介された。
JR九州の長距離列車は高速バスの発達により苦戦していた。新幹線は速いが運賃は高い。だからこそ新幹線の目的地を創出する必要があった。それが魅力ある観光列車の開発だ。「ふたつ星4047」の車両は「いさぶろう・しんぺい」「はやとの風」を改造して使うとのこと。鹿児島新幹線のテコ入れ列車の役目は終わり、次の西九州新幹線の応援に向かう。
西九州新幹線では「ふたつ星4047」のほかに、既存の観光列車「或る列車」も華を添えるだろう。長崎方面の観光列車はほかに「36ぷらす3」もあるけれども、この列車は電車で、現在の長崎本線は肥前浜〜諫早間の電化設備が撤去されるから運行できない。「ふたつ星4047」は、こうした観光列車の再編も見越した施策かもしれない。
関連記事
- 2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。 - 中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。 - 渋谷で「5000円乗り放題」を始めて、どんなことが分かってきたのか
長距離バスの運行などを手掛けているWILLERが「月5000円で乗り放題」のサブスクプランを打ち出したところ、利用者がじわじわ増えている。4カ月ほど運営してみて、どんなことが見えてきたのかというと……。 - ベックスコーヒーに「月27.7回」も! JR東日本のサブスクは、どのように使われたのか
7月から8月にかけて、JR東日本がサブスクを展開していた。カフェを利用できたり、そばのトッピングができたり、シェアオフィスを使えたり。結果、消費者はどのように使っていたのだろうか。データを見ると、おもしろい結果がでていて……。 - スーパーでよく聞く「ポポーポポポポ」の“ミニ”が完売! 開発秘話を担当者に聞いた
スーパーで「ポポーポポポポ」のメロディーをよく耳にする。あの音を流しているのは「呼び込み君」というアイテムで、群馬電機が開発している。このたび「呼び込み君」のミニトイが登場して、予約数が殺到しているのだ。開発を手掛けた青島文化教材社の担当者に、裏話などを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.