連載
海外売上比率9割の衝撃 ヤマハ発動機・日高祥博社長が2年連続「DX銘柄」に押し上げた軌跡を追う:ヤマハ発動機の展望【前編】(2/4 ページ)
2輪、電動アシスト自転車、マリンといった事業まで幅広い分野を手掛けるヤマハ発動機。海外売上比率は約9割(89.6%)に上っており、まさに日本を代表するグローバルカンパニーだ。社内改革を進める日高祥博社長に今後の展望を聞いた。
粘り強い対話でDXを浸透
――DXを社内に浸透させるために、いかにして幹部や社員を鼓舞しましたか。
社員に対して、きちんとコミュニケーションを取りました。まず執行役員に予知型経営の重要性を理解してもらい、合宿をして「10の誓い」に署名してもらいました、まず役員クラスを逃げられないように固めました。次に、年に2回ほど聞いている全世界の拠点長約40人を集める「グローバル経営会議」で、デジタル戦略を発表し理解してもらいました。
2018年から2年ぐらい掛けて、IT部門のマインドをセットアップし、3年目からはプロジェクトや受け皿も作り、動き出しました。組織も変更し、スマートファクトリーを進めるための生産技術本部を作りました。製造部門の人にスマートファクトリーの意義を分かってもらうようにしました。
IT本部の中にはデジタル戦略部を作って専任部隊を置きました。こうすることで「社長のDXに対する覚悟は本気だ」と思ってもらえるようになりました。
新しいことをするときは、2割は賛成してくれますが、6割は反対、残りの2割は関心をもたないとよく言われます。粘り強く対話をして理解してもらうことが必要です。
日本はテクノロジーを日々のオペレーションに取り込んでいく点で遅れています。当社も中段の後ろくらいに位置していますが、DXを推進することによって先頭に立とうと頑張っています。
関連記事
- NEC森田社長に聞く「新卒年収1000万円施策」の効果 魅力的な職場を作ることこそマネジャーの仕事
NECは顔認証に代表されるように世界でも有数の認証技術を持っている。加えて月や火星探査などの宇宙開発など夢のある技術開発に長年注力してきた。今後の展望を森田隆之社長に聞いた。 - NEC森田社長に聞くDXを推進する「3つのキーワード」 指針は「長期利益の最大化、短期利益の最適化」
NECがデジタル化の波に乗って飛躍しようとしている。その旗振り役である森田隆之社長にインタビューした。 - NEC「新卒年収1000万円」の衝撃 年功序列の廃止か、「3流国への没落」か
NEC、ソニー、NTTコミュニケーションズ、DeNA、富士通……。高い報酬を払ってでも新卒の優秀な技術者を採用したいという機運が高まってきた。年功序列に縛られた日本企業は果たして変われるのだろうか? - ワークマン土屋哲雄専務が、社員の平均年収を700万円に上げた理由
「残業しない」「ノルマを設けない」「値引きをしない」「社内行事をしない」――。他社とは真逆の取り組みともいえる「しない経営」を実践し、10年連続で増収、最高益を更新したワークマン。後編では、土屋専務が社員の平均年収を、定期昇給分を除いて100万円以上アップさせた理由を聞く。 - ヤマト運輸が舵を切るデータ・ドリブン経営 “DX請負人”の中林紀彦執行役員を直撃
ヤマト運輸が顧客サービスを改善しようと、宅配に関する膨大なデータを駆使したデータ・ドリブン経営に舵を切っている。その仕掛人であるデジタルデータ戦略担当の中林紀彦・ヤマト運輸執行役員を直撃した。 - 富士通「年収3500万円」の衝撃 ソニー、NECも戦々恐々の「グローバル採用競争」
「富士通3500万円」「NTTコム3000万円」「ソニー1100万円以上」「NEC新卒年収1000万円」――。優秀な人材を獲得するためにカネに糸目をつけず施策を展開する各社の危機感と焦燥。繰り広げられる採用“狂騒曲”の本質に迫った。 - 上場企業の「想定時給」ランキング、3位三井物産、2位三菱商事 8000円超えで「ぶっちぎり1位」になったのは?
上場企業の「想定時給」ランキング……。3位三井物産、2位三菱商事に続き「ぶっちぎり1位」になったのは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.