離職率は2% 「退職ラッシュ」が続く中で、社員に選ばれる企業の舞台裏:米国は“大退職時代”(1/3 ページ)
米国では、コロナ禍をきっかけに働き方を見直す人が多く、「大退職時代」(Great resignation)と呼ばれている。しかしそんな中でも、社員の心をつかんで離さない企業が存在する。離職率は2%と低く、コロナ禍でも積極的に採用を行い、75%も社員が増加したというDuolingo社のCPOに話を聞いた。
長引く新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の働き方を大きく変えた。それは日本においてだけではない。
米国では、コロナ禍をきっかけに働き方を見直し転職を希望する人が多く、「大退職時代」(Great resignation)という言葉が頻繁に使われている。2021年8月の求職者調査(Bankrate社が実施)によると、実際に55%の人が今後12カ月の間に転職をしたいと考えているという。
こうした状況でも、社員の心をつかんで離さない企業が存在する。世界各国で約5億人が利用している語学学習アプリ「Duolingo」を運営するDuolingo社では、離職率は2%と低く、コロナ禍でも積極的に採用を行い、75%も社員が増加したという。
同社のCPO(Chief People Offiser)を務めるクリスティーン・ロジャースレッチュ(Christine Rogers-Raetsch)氏に、逆境の中でも、従業員に愛される企業になる秘訣を聞いた。
──米国では現在「大退職時代」を迎えていると聞きますが、具体的にどのような状態でしょうか。
フレキシブルに働くことへの期待が高まっています。特にIT関係の企業などでは、週5日間オフィスにいる必要がなくなりました。報酬や安定した職よりもこうしたフレキシビリティを重んじる人も増えてきています。
具体的には、転職をする人が多いですが、いったん仕事を辞めて一休みするというケースも見られます。実は、米国の労働市場はいま売り手市場なのです。求職者の希望を強く出せる状況だと言えます。
──日本では、コロナの感染状況が落ち着いた段階で出社を増やす企業が多くありました。米国では、どのような出社形態の企業が多いのでしょうか。
フルリモートにシフトしようという企業は多いです。一方、出社とリモートを組み合わせるハイブリット型を重んじる流れもあります。
Duolingoは現在、リモートが中心で、3分の1程度の社員が(個人の裁量で)出社している状態です。しかし、新年からは「Return to office」という計画を立て、1週間のうち、3日間は出社し、2日間は在宅など好きな環境で働く「3+2」というハイブリッドワークを採用する予定です。
これは大変悩んだ上での決定でした。従業員からは「これからも柔軟に働きたい」という要望もあります。しかし、当社はコミュニケーションを重んじていて、コロナ禍の前まではみんな必ず出社して話し合う文化でした。
こうした制度作りは、社員の反応を見ながら試し試しやっていく予定です。「まずやってみて、市場動向も見ながら微調整をする」ということが、Duolingoでは多いですね。
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