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“ダサい”と評判の4℃、5年連続の業績後退を「コロナのせい」で片付けるべきでない理由:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)
ネックレスやリングをはじめとした宝飾品ブランドとして有名な、「4℃」を手がけるヨンドシーホールディングスの業績が悪化を続けている。
ネックレスやリングをはじめとした宝飾品ブランドとして有名な、「4℃」を手がけるヨンドシーホールディングスの業績が悪化を続けている。
同社は1月7日に業績予想を大幅に下方修正した。売上高は予想比で5.4%減の383億円、営業利益は31.8%減の17億円となっている。その理由として、コロナ禍におけるギフト需要や出会いの場が減少したことを挙げており、それがクリスマス商戦での売上不振につながったと分析している。
しかしながら、「4℃」の業績後退はコロナ禍が始まる数年前から発生していた。
具体的には、2016年2月期の528億円に売り上げピークをつけて以降、5期連続で売上高も営業利益も減少している状態だ。
それだけではなく、4℃とは対照的に、ライバル企業の業績が伸びていることも気がかりだ。4℃と同様に宝飾品を手がけるニューアートホールディングスは、22年3月期の業績を前年比19.8%増の227億円、営業利益は37.6%増の31億円と予想している。同社はブライダルジュエリーが主力であることから、「出会いの場の縮小」という影響をより正面から受けそうであるが、多角化経営の甲斐もあって15年3月期以来は一貫して売上高も営業利益も伸びている。
ここから考えると、4℃のここ数年における業績の後退はコロナだけで片付けられるものではなさそうだ。
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