連載
大赤字で“株価暴落中”の出前館、これは「良い赤字」か「悪い赤字」か:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/4 ページ)
コロナ禍による巣ごもり消費の追い風を受け、急速に対応エリアと店舗を拡大している出前館。しかし、25日に発表された出前館の決算は惨憺(さんたん)たる結果として市場に受け入れられた。コロナ禍を経て赤字が7倍以上も膨らんだことになる。
コロナ禍による巣ごもり消費の追い風を受け、急速に対応エリアと店舗を拡大している出前館。出前館といえば、ダウンタウンの浜田雅功氏がスーダラ節の替え歌を歌うCMの印象が強いのではないだろうか。現に出前館の注文件数は、広告戦略の成功もあって1年前の1070万件から1580万件と44%も増加している。今ではアクティブユーザー数652万人を誇るメガサービスとなっている。
しかし、25日に発表された出前館の決算は惨憺(さんたん)たる結果として市場に受け入れられた。出前館の2021年8月期第3四半期決算の結果は、約45億円の営業赤字となった。前年同期の営業赤字が6億1900万円だったことから、コロナ禍を経て赤字が7倍以上も膨らんだことになる。
出前館の株価も大きく下落中だ。同社の株価は、決算発表の翌営業日からずるずると値段を下げ、決算前の水準からは15%マイナスとなる1500円台近辺で推移している。昨年末の最高値である4200円と比較すると、そのパフォーマンスはマイナス64%と“暴落”といっても差し支えない状況だ。
しかし、目先の赤字と株価推移だけに注目してしまうと、出前館の中長期戦略を見誤ってしまう。そこで今回は、出前館のキャッシュフローや赤字の内容を分析し、この赤字が「良い赤字」なのか「悪い赤字」なのかを確認してみよう。
関連記事
- 米国株より高騰する木材 「ウッドショック」は一過性か?
この一年は米国株よりも「木」を持っていた方がもうかったようだ。今、世界的な未曾有(みぞう)の材木価格高騰によって、「ウッドショック」と呼ばれる現象が発生している。 - ウーバーイーツ不法就労問題の本質は性善説でない理由
性善説は“お粗末なシステム”への免罪符ではない。22日には日本でウーバーイーツ事業を手掛ける日本法人のウーバージャパンのトップと、当時コンプライアンス担当をしていた元社員の2人が東京地検に書類送検されるニュースが報じられた。 - 今、いきなり!ステーキが「大復活」の兆しを見せている理由
いきなり!ステーキは、にわかに”大復活の兆し”を見せている。これはペッパーフードサービスにおける半年間の株価推移を見れば明らかだ。同社の株価は、5月半ばから上昇に転じ、今では1月の安値から2倍以上となる512円で推移している。 - サクラ革命が月数千万の売り上げ捨ててもサービス終了させたかった理由
大型スマホゲームのセガ「サクラ革命」が、リリースからわずか半年程度でサービス終了となる。一部で噂されるサクラ革命の開発費30億円という数字が事実であるとするならば、なぜ多額の開発費をかけたスマホゲームが、ここまで早いスピードで撤退に追い込まれたのだろうか。 - 潰れかけだった小僧寿しが今、大復活を遂げている真の理由
“潰れかけ”の状態にまで追い込まれていた小僧寿しが、今大復活を遂げている。2月19日には債務超過を解消したことで疑義注記の記載が解消され、経営危機状態も脱した。その要因はなぜだろうか。 - “大赤字”日産が、契約社員の正社員化に踏み切ったワケ 期間工は対象外
日産自動車は同社の拠点で雇用する事務職約800人の契約社員を、原則全員正社員として登用することを決定したという。日産が契約社員の正社員化に踏み切った背景には、どんな要因が隠れているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.