コラム
「相鉄・東急直通線」2023年春開業 巨大ネットワークで東京の交通はどう変わるのか?:都心が、ぐっと近づく(5/6 ページ)
相鉄・東急直通線の2023年3月開業が正式発表された。相鉄と東急の直通で誕生する巨大ネットワークは、単に都心にアクセス可能になるだけではない。
相鉄・東急直通線の開業がもたらす大きな効果
お気付きだろうか。相鉄・東急直通線が開通することで、2つの巨大ネットワークに相鉄はアクセスできることを。都心エリアへの2路線と、新宿・池袋といった繁華街エリアへアクセスする東京メトロ副都心線への接続が可能になる。
2つの巨大な直通運転ネットワークに、相鉄も加わる。日吉がその接点だったものが、そこから相鉄に乗り入れることで、ほぼ一体化したネットワークが誕生する。
もちろん、列車が遅れたときには広範囲に影響する欠点があるものの、これだけの広大な、複数のネットワークが誕生することで、利便性は大きく向上する。
2つの巨大ネットワークの影響を少なくするなら、相鉄からの乗り入れは目黒線方面を中心とし、東急東横線(とその先の東京メトロ副都心線など)は少なくする、東京メトロ南北線や都営三田線からの列車は相鉄にのみ入れるのが良さそうだ。
東急東横線は10両編成がメインであるのに対し、東急目黒線やメトロ南北線・都営三田線は8両編成までしか入らないからだ。
相鉄・東急直通線が2つのネットワークを重なり合うように一体化し、巨大化する。このネットワーク化は、特に相鉄にとってメリットが大きい。また東急電鉄側の利用者としても、新横浜で新幹線に乗り換えられたり、二俣川にある「神奈川県警察運転免許センター」にダイレクトに行けたりといったメリットもある。
新たに誕生する巨大ネットワークには、さらに未来が待ち構えている。
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