プラ使用量を90%削減した“密封できる紙トレー” DNPなどが開発を開始:フードロス低減にも
DNPと東京食品機械は、プラスチック使用量を抑えた環境配慮型の密封性を有する紙トレーの共同開発を開始した。
大日本印刷(以下DNP)と東京食品機械(東京都中央区)が、密封性のある紙トレーの共同開発を開始した。パッケージと包装システムにおける両社の開発力を掛け合わせ、プラスチック使用量を抑えながらも酸素バリア性と密封性をあわせ持つ「密封紙トレー」を開発し、総菜や冷凍食品業界などに向けて提供していく。
トレー部に紙を使用することで、トレー単体でプラスチック使用量を約90%削減する。適切に管理された森林資源で製造する「森林認証紙」を使用し、環境保全に配慮する予定だ。
また、バリア性のある素材と包装システムを採用し、これまで紙容器では困難だった密封性の実現を目指す。これにより、食品の酸化や微生物などの増殖を抑制する「ガス置換包装(MAP)」を可能にするとしている。内容物の消費期限の延長にもつながり、フードロス低減などの課題解決にも有効となるという。
密封性を有することで、持ち運びの際に内容物が漏れない設計とし、さまざまな場面で扱いやすいパッケージを目指す。また、電子レンジにも対応し、食器代わりにトレーを使用する「即食」も可能とする計画だ。
DNPでは2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを進めてきた。特に、暮らしに身近な食品・日用品などの包装材の環境配慮に努め「COの削減」「資源の循環」「自然環境の保全」という3つの価値を社会に提供するDNPオリジナルのパッケージングとして「GREEN PACKAGING」を展開している。
両社は、東京ビッグサイトで2月15〜18日に開催される「JAPAN PACK 2022」 、幕張メッセで2月16〜18日に開催される「スーパーマーケット・トレードショー2022」 の東京食品機械ブースにて、本製品を出品。今後も紙トレーの開発を進め、26年度には包装材料で10億円、包装システムは20台の販売を目指す。
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