ENEOSが「モス」や「サイゼ」を自動配送 1万3000カ所の給油所活用で目指す姿とは:自動走行ロボットの輸送インフラを構築(3/4 ページ)
ENEOSホールディングス、ZMP、エニキャリは2月1日、自動宅配ロボットを活用したデリバリーの実証実験を、東京都中央区佃・月島・勝どきエリアで開始した。
国内約1万3000カ所あるSSをロボットの充電・運用拠点として活用
今回の事業を行う背景について、ENEOS未来事業推進部 事業推進3グループの片山裕太氏は「コロナ禍の影響でECサイトによる宅配が増加し、ラストワンマイルデリバリー市場の需要が急拡大している」ことに触れ、「物流クライシスとなっている物流業界を持続可能なものにするために、何か価値提供ができないかと考えた」と語る。
ここで「どうしてENEOSが自動宅配ロボット事業?」と考える読者が多いと思うが、片山氏の所属するのは未来事業推進部。19年4月に発足した部署で、「2040年に柱となる事業を創出すること」をミッションに掲げている。本実証実験もその取り組みの一つという位置付けだ。
それでは、ENEOSはこの事業で何を目指しているのか。片山氏は「全国にある当社のサービスステーション(SS)を、ロボットの充電・運用・メンテナンス拠点として活用し、自動走行ロボットの輸送インフラを構築すること」だという。
将来的には、国内約1万3000カ所ある同社のSSを活用し、自動宅配ロボットだけでなくドローンや自転車などを配備。商品・距離・時間に応じた最適な配送手段を活用し、新たなラストワンマイル配送の拠点にすることを目指す。
ビジネスモデルについて片山氏は、「お客さまのニーズに合わせて最適なサービスを提供できるロボットデリバリーソリューションを構築したい」と展望を語る。
具体的なサービスとして、参加したい店舗の注文サイトへの出店、すでにデリバリーを行っており宅配ロボットを導入したい店舗には、デリバリーインフラの提供などを考えている。
また、片山氏は「ディベロッパーが特定エリアでロボットを活用したいというニーズがあると聞いている。そういった場合は、ロボット、顧客UI、配送アルゴリズムをOEMという形で提供することも考えている」と話す。これらを収益源にして新たな事業を創出したい考えだ。
「今後全国展開し、誰が、いつ、何を買ったか、店舗にどんな在庫があるかなどのデータが蓄積できれば、そういったデータを活用した新たなビジネスも可能になっていくのでは」と片山氏。
一方、片山氏は今後の課題として挙げるのが「法規制とビジネス面」だ。
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