実は真面目? 現代的な「働かないおじさん」5つのパターン:「働かないおじさん問題」のニュータイプ化(3/3 ページ)
「働かないおじさん」という言葉を目にする機会が増えた。「窓際族」と呼ばれた時代とは違い、現在は「本人としては、真面目にコツコツやっている」人が多いと、筆者は解説する。現代的な「働かないおじさん」5つのパターンとは?
「働かない」ではなく「働けない」ことが問題
上記の社員たちは、決して悪意を持って「働かない」わけではありません。
勤労意欲がないわけでもなく、本人としては、真面目にコツコツやっているし、今までそれなりに頑張って働いてきた、成功してきたという自負を持ち合わせている人も多いでしょう。
ただ、周囲の期待に対して十分な成果が出せなくなってしまっているため、「あの人は働いていない」という評価になってしまっているのです。つまり、「働かない」のではなく何らかのギャップにより「うまく働けない」のです。
本人に悪意があるわけではない分、企業側も対応に苦慮することが多いようです。その原因は、本人ではなく、上司・会社・人事・同僚など周囲の関わり方にある場合もあります。
もちろん、会社の期待に応えられていないのは、ミドルシニアに限った話ではなく、若手社員にも起こり得る現象です。
しかし、ミドルシニアの場合、若手より報酬が高く、より責任や影響力のあるポジションに就いているケースが多いため、「働かない」場合の企業の損失が(若手よりも)ずっと大きくなります。これが「働かないおじさん問題」が表面化してきた理由と考えられます。
本人と上司が1on1などで真摯に「どんなギャップが生じているのか」について話し合い、「部下が悪い」「上司が悪い」と属人化することなく、「ギャップ」自体を問題として捉え直すことが、「働かないおじさん問題」を解決する起点になります。
その際は、上司は年上部下に対して、真摯に耳を傾ける「傾聴」と、必要なことは耳が痛いような内容でも伝える「フィードバック」が重要になります。
著者:難波猛(なんば・たけし)
マンパワーグループ株式会社 ライトマネジメント事業部 シニアコンサルタント
1974年生まれ。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て2007年より現職。
提案営業、研修講師、コンサルタントとして日系・外資系企業を問わず2000名以上のキャリア開発施策、人員施策プロジェクトにおけるコンサルティング・管理者トレーニング・キャリア研修等を100社以上担当。セミナー講師、官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。プロティアン・キャリア協会認定アンバサダー。
著書に、『「働かないおじさん問題」のトリセツ』『雇用調整の考え方と進め方』『ネガティブフィードバック』『「働かないおじさん」は、なぜ「働けない」のか?』がある。
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