しゃぶ葉やガストが導入する「配膳ロボ」の実力は? 最先端、中国のロボット事情:ロボットの活用事例(3/6 ページ)
2021年10月、すかいらーくグループは、全国2000店舗に中国製の配膳ロボットを導入すると発表。中国では、配膳ロボットのほか、レベル4の自動運転技術を備えた業務用掃除ロボットも導入が進む。中国ロボットの総合代理店を務める日本のテクトレ社と、すかいらーくグループにロボット活用事例を聞いた。
現場でのオペレーションや気になるコストは?
配膳ロボットが担うのは、大きく「配膳」と「下げ物」(食べ終わった皿の片付け)の2つ。配膳では、棚に料理を乗せて席番号などを指定すると、指定席まで自走する。この際、ロボットの棚から客が自ら皿を受け取る場合と、従業員が棚から皿を取って客に提供する場合がある。
「日本の飲食店の場合、他国より接客を大事にする傾向が強いため、ロボットに配膳をさせて、従業員が皿をテーブルに乗せるというオペレーションが多いように思います。ただし、ロボットの効率性を最大化するなら、お客さんに自ら皿を受け取ってもらうのが良いですね」(テクトレ 配膳ロボット営業担当 露木悠一郎氏)
日本では導入実績が少ないこともあり、中国の飲食店でのオペレーションを聞いてみた。人気のチェーン火鍋店「海底撈火鍋」では、比較的混雑していない平日の午前中や深夜帯に利用しているとのこと。同店では店員がサーブするのではなく、客が自ら皿を受け取るスタイルだ。
「質問に対して応答できる音声の種類が少ないことは課題ですが、配膳のサポートという視点では十分な機能を備えています。従業員は手が空いた時間に新しい仕事を覚えることができて、成長スピードが上がっていると感じます」(火鍋店のスタッフ)
露木氏の話では、この火鍋店のように混雑していない時間帯に利用するケースは少なく、むしろ混雑時間帯に投入することで、賃金が高くなりやすい短時間のパート雇用などを減らせるといった効果が見込まれまるという。障害物センサーにより、多少混み合っていてもロボットと客や従業員が衝突する心配は、それほどないようだ。
コストについては、キーンオン・ロボティクスの代表的な製品「T1ライダー版」(天井のタグ付け必要なし)は、一括購入で260万円。プードゥ・ロボティクスの猫型の配膳ロボット「ベラボット」は、一括購入で291万5000円となる。
テクトレ社の場合、一括購入のほかにリース会社を通じたリース契約も可能で、例えば5年契約で月に5万円前後からの支払いとなる。契約形態はファイナンスリースと呼ばれるもので、支払いを終えると所有権がリース会社からユーザーに移行する。
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