「働かないおじさん」を生む、3つのズレと解決方法:「働かないおじさん問題」のニュータイプ化(2/4 ページ)
なんだか意欲が低い、頑張っているけど方向性が違う――そんな問題を抱える「働かないおじさん」に悩む企業が増えている。問題点はどこにあるのか? どこに注目すれば解決できるのか?
WILLの変化
普通は、入社当初からいきなりWILL(やる気や意欲)がない人はいません。少なくとも、自分の意志で採用選考を受けに来て「御社で○○の仕事をしたい」「こういう点に魅力を感じています」と言っていたはずです。
では、なぜあったはずのWILLがズレたり、小さくなったりしてしまうのでしょうか?
本人側の原因
理想と現実のギャップ。具体的には、自分が期待していた仕事、状態、成果、評価が得られないなど。また、心身の衰えや不調、飽き、人間関係、家庭問題なども、意欲が減退する原因になる場合があります。
会社側の原因
コミュニケーション不足。具体的には、本人の志向を把握していない、本人が望まない仕事や役割を与えている、そもそも話自体をしていない、など。
対策
動機付けを高めるには、「やるべき仕事」と「自分のやりたいこと」「ありたい姿」がつながっていることが重要です。
若手には細かく話を聞いていても、ベテランの部下には小まめなコミュニケーションができていない(やっていない)上司が見受けられます。「ベテランなので、やる気なんてあって当然だし本人次第」「今更、やりたいことや希望をあらためて聴くのも違和感がある」と言う上司は存在します。
しかし、いかにベテランであっても、やる気を保つためには上司や周囲からのフィードバックや対話は不可欠です。実際、大手企業の50代管理職向けの研修でも、「やっぱり、人から褒められたいよね」「楽しい仕事と、楽しくない仕事はあるよ」「後から振り返って、やり切ったと言える会社生活を歩みたい」など、若手社員と変わらない気持ちの吐露を多数聞きます。
会社内で立場が上がると、周りからの承認機会や素直に自分の欲求や意志を吐き出す機会が減ってしまっている場合もあるので、人事や上司側が工夫して本人のWILLを聴く機会を設けることも有効です。
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