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ドラえもんがつくった地下鉄は公共交通か? ローカル線問題を考える:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
『ドラえもん』に「地下鉄を作っちゃえ」という話がある。のび太がパパのためにつくった地下鉄は公共交通と認められるか。この話をもとに、公共交通になるための過程、利用者減少から撤退への道のりを考えてみたい。
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ところがある時、「のび太の地下鉄」に異変が起きる。乗客が減っていく。理由は何だろう。
- マイカーブーム。誰もが自家用車で移動する。マイカーが増えれば、自治体もマイカーに便利な地域をつくりたい。つまり便利な道路をたくさん整備する。
- 競合する公共交通の誕生。道路が広く便利になったから、バス路線ができた。バスは柔軟にルートを変更できる。バス停もたくさんつくれるから、駅から遠い場所にいる人人ほどバスに移行する。
- 高齢化。人口は変わらないけれど、住む人が高齢化して、通勤通学需要が減る。ただし、病院や観劇、買い物に行きたいから地下鉄は必要。しかし利用頻度は下がる。
- 人口減少。のび太の地下鉄は電車1台しかない。隣町には東京メトロや大手私鉄並みの大量輸送交通機関がある。ならば隣町へ引っ越そう。のび太の地下鉄沿線は過疎化する。ただし人口はゼロではないから、のび太の地下鉄がないと困る人もいる。
こうして、のび太の地下鉄の客は減っていく。毎回20人の乗客をビストン輸送していたけれど、10人ほどになった。売り上げは半分だ。このままでは赤字。しかし乗客が増える見込みはない。コストを下げたい。運行回数を半分にしよう。これで帳尻は合うはずだ。いや、そうはならない。少し不便になったからだ。それでものび太は耐えるしかない。
乗客が平均5人になった。10人乗ってくれる時間帯もあるけれど、0人の時もある。では0人の列車を廃止しよう。また運行本数が減る。乗客もさらに減る。いつも0人の列車だって、たまに用事があって乗る人はいたからだ。
こうなったらマイカーのほうが便利だ。運転できない人は、バス停が遠くてもバスを選ぶ。家族がいれば送迎を頼む。家族の時間を奪うけれど、のび太の地下鉄が不便だからしかたない。「のび太の地下鉄なんてアテにならないじゃないか」と誰もが考えるようになってしまう。
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