安さが売りだった「しまむら」を変えた! 子ども服「バースデイ」のあなどれない実力:磯部孝のアパレル最前線(4/4 ページ)
出生数の減少に歯止めが止まらない中、ベビー・子ども服関連で快進撃を続けているチェーン店がある。それが、しまむらグループのバースデイだ。
しまむらはファッション誌との協業ブランドが好調
しまむら本体でも、このJBの取り組みが応用されている。代表的なJBが「SEASON REASON(シーズンリーズン)」で、宝島社が発行するファッション誌「InRed」との協業ブランドになる。このSEASON RESONの売り上げも好調で、現在JBによるの取り扱いブランドも拡大しており。今日のしまむら好調の要因のひとつでもある。
バースデイから始まったJBの成功例は、今まで「安さ」を最大の売りにしてきたしまむらグループに専門店的な感度と世界観を持ち込む要因となった。
言葉にするといとも簡単に聞こえるが、これを成し遂げて維持継続することは並大抵ではない。
これまでも、買い求めやすい価格帯を自前で目指しながらも、自店の立ち位置や主要顧客を見誤り、生活者からの支持を失っていった企業がたくさんある。しまいには自社開発を断念し、テナント誘致で売り場を埋めていく……。
目指した企業が決して怠慢だったワケではないと思うが、目指す方向性が違うと努力は報われないのも事実だ。
バースデイの成功にはタイミングという不可避な要素も含まれているだろう。それはナチュラルテイストのベビー・子ども服が、長らく「専門店の領域」として見なされていた事にも起因する。
しかし、ファッションにはトレンドが「大」なり「小」なり生まれてくる。またファッション・トレンドの軸が動いた時に、きちんとそのトレンドに呼応できるのか。その時に真価が問われることになると思う。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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