「希望退職を募集することになったら、私はJALを辞めます」 日本航空・菊山英樹専務:日本航空の行方【前編】(2/4 ページ)
コロナ禍による国際、国内の旅客数減少が長期化して日本航空(JAL)は苦しい経営が続いている。経営破綻後に当時の稲盛和夫会長(現在は名誉顧問)から経営のやり方を巡って叱責された経験がある菊山英樹専務にインタビューした。
稲盛和夫会長との議論
――コロナ禍で経営環境が厳しくても、希望退職の募集はしない方針に変わりはないですか。
変わりありません。なかなか信じてもらえないのですが、基本的には雇用を守ることを第一に考えていることは、コロナが発生した当初から言い続けています。
――2010年の経営破綻を経験して、アメーバ経営で有名だった稲盛和夫会長が「経営の神様」として経営に参画しました。再建論議をする中で意見が衝突する場面もあったようですが、具体的にはどんなやりとりがあったのでしょうか。
稲盛さんが来られた時、新しい組織の路線統括本部が作られました。当時私は、国内線の担当をしていました。稲盛さんは当時の幹部に対し、「そんなことでは八百屋の経営もできない」「そういう経営マインドだから駄目なのだ」「(稲盛会長が来られた時に私が所属していた)経営企画部が諸悪の根源だ」など、厳しく批判しました。
しかし会長に言われたことに何でも従うのではなく、どうしてそういうことになるのかディスカッションをする風土が大事だと思っていました。当時、私は経営破綻して会社に残る人間ではないと思っていました。「ここでひるんではいけない」と思い、稲盛さんに対して言いたいことは申し上げました。
国内線では当時、大型機を就航させるJAL本体と、小型機を飛ばしているJALエクスプレスがあり、その時の需給によって機材を変えていました。その時に国内線という一つのアメーバごとの収支を重視する私の考え方と、個々のアメーバよりも全体を重視する稲盛さんとの考え方があいいれませんでした。衝突する部分はありましたが、今思えば、(JAL経営幹部の)考え方の部分で、自分たちは絶対に正しいというおごりの部分を稲盛さんが気付かせ、目を開かせてくれたと思っています。
――人件費を削減するため、いくつかの業界に客室乗務員などを派遣しています。現状の派遣人数は何人くらいでしょうか。それによる人件費はどれくらい節約になるのでしょうか。
派遣している社員は3月1日現在で約1400人で、昨年末から大きくは変わっていません。人件費の負担は契約内容によって異なりますが、人件費を減らすことができています。
――派遣先はどういう業種が多いですか。
全ての業種にわたっています。財務を担当している私の関係で言えば、損害保険会社にも派遣しています。コールセンターなどにも多く派遣していると思います。客室乗務員は特にホスピタリティーが求められる仕事なので、コールセンターの会社からは評価されていると聞いています。派遣された社員の給料は、JALの賃金規定により支払われるので、基本的な部分は変わりません。
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