コラム
苦境の老舗を、好調のライバル主導で統合 反発を生まないために、人事がすべきことは?:突然のM&A その時、人事がキーマンになる(1/2 ページ)
ライバル企業として競ってきた大手2社が、合併を行うことに。業績好調のB社主導で、苦境にあえぐ老舗のA社を合併するが、反発が予想される。人事はどう対応すべきか?
連載:突然のM&A その時、人事がキーマンになる
離職者が増加、「買収される側」の社員が反発、「買収する側」の社員にも不安と不信感が広まる──M&Aで起きてしまいがちな失敗を回避するための鍵は、“人事”の仕事にあった。人事コンサルタントの桐ケ谷優氏が、「M&Aを成功に導く、人事領域の対応」について解説する。
前回の記事「“管理職を降ろされ不満噴出”を避けるには? M&A後の『等級・評価・報酬制度』統合のコツ」では、人事制度の根幹となる等級制度・評価制度・報酬制度の統合の進め方を解説した。
連載の最終回(前編)となる今回は、より実践的な観点から筆者が経験してきた「M&Aにおける人事統合の事例」を2つご紹介したい。守秘義務の関係上、具体的な社名や詳細までは開示できないが、これらの事例を参考にしながら人事制度統合のポイントをつかんでほしい。
事例1:苦境の老舗A社を、好調のB社主導で統合 反発を生まないためには?
事例1は、大手小売業2社の合併に伴う人事統合事例だ。もともと業界内でライバル企業として競ってきた大手2社が、先行き不透明な経済環境の中で、規模の経済を生かし、生き残りを図るために合併を行うこととなった。
もともと業績好調だったB社が、業績低迷で苦境にあえぐA社に合併の提案をもちかけたことがきっかけであり、両社で正式合意が締結されたのち、B社主導で合併プロジェクトが進められることとなった。しかし、業界大手で老舗企業でもあるA社の経営陣や従業員の感情に配慮し、B社経営陣は当初から「対等合併の精神」で合併プロジェクトを進めていく方針を掲げた。
「対等合併」で納得感を生むために、具体的にはどうしたのか
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