カット1650円の「QBプレミアム」が、過去最高を更新しているワケ:「実証実験」の結果(2/4 ページ)
ヘアカット専門店「QBハウス」ではなく、「QBプレミアム」という店ができていることをご存じだろうか。既存店の課題を解決するような店をオープンしたところ、客数は右肩上がり。どんな特徴があるのかというと……。
最大のウリは「予約を受け付けている」こと
プレミアム店の料金は1650円なので、通常のQBハウス(1200円)よりも450円高い。新業態の特徴はいくつかあるが、最大のウリは「予約を受け付けている」ことだ。
キュービーネットはアンケートを実施したところ、お客から「時間を予約したい」という声が多かったので、スマホのアプリを使って「事前予約」ができるようにした。また、新型コロナの感染拡大を受けて、「事前決済」もできるようにした。「感染リスクを考えると、店内で待ちたくない」というニーズにも、うまく合致しているようだ。
ところで、事前予約をしている人はどのくらいいるのだろうか。同社の入山裕左専務に聞いたところ「全体では20%ほどですね。18時以降で見ると、半分ほどが予約されています」とのこと。「QBハウス=フラリと立ち寄る理髪店」といったイメージが強いので、予約している客はまだまだ少数派のようだ。
プレミアム店の特徴は、まだまだある。通常のQBハウスはカットが終われば、さっさと店を後にしなければいけない。「これから商談があるので、できればスタリングをしたいなあ」という人もいると思うが、それは不可能。しかし、プレミアム店では整髪料を使った仕上げのスタイリングサービスも用意している。このほかにも、コーヒー(有料)を提供していたり、Wi-Fiを完備していたり、充電用のコンセントを配備していたり。コーヒーを飲みながら、仕事ができるような場所となっているのだ。
それにしても、なぜワンランク上の店を構えようと思ったのだろうか。「10年後を見据えて、既存店の課題を解決できる店をつくっていかなければいけません。実証実験のような形で、大手町にプレミアム店をオープンしました」(入山さん)という。大手町はご存じの通り、日本屈指のオフィス街である。多くのビジネスパーソンが忙しく働いていて、「オレは少しの時間も無駄にしないぜ」オーラを漂わせている人が多い(ような気がする)。そうした人たちに対して、既存のQBハウスはフィットしているのだろうか。
答えは「うーん、微妙」である。店内が空いていれば、文字通り「10分」でカットを終えることができるが、赤色のランプが点灯していれば、そういうわけにはいかない。「予定より早く仕事が終わったので、これから髪を切りたい」と思ってもできないことがある。そうした「客の不満=店の課題」を解決するために、何かできることはないか。そんな発想から、この店は生まれたのだ。
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