後発Web会議システムの「パルケ」 業界に地殻変動を起こすか:後発サブスク企業の生き残り方(3/5 ページ)
文字起こし機能を搭載し、Web会議とチャット機能を1つにさせた後発のサブスクリプションツール「Parque(パルケ)」。翻訳機能を実装するなど、これまでになかった付加価値のある機能を付けることによって既存のWeb会議システム業界に新しい風を吹かそうとしている。今後の生き残り戦略について、連続起業家であるパルケの社長にインタビューした。
飲食、理美容、ホテルなど中小をターゲット
――飲食、理美容、ホテル関係などの伝統的な中小企業をターゲットにしているようですね。
PC主体で、スタートアップや開発会社で働いている人たち向けには既にSlackがあり、ここは熱狂的なファンの世界なので、そこは狙っていません。当社は「もうちょっとみんなで簡単に使うことができないかな?」と困っている層をターゲットにしようと思っています。特に地方に市場があると考えています。
――具体的にどうやって売っていきますか?
1つはWeb会議中心で売る戦略です。「パルケは面白いね」と感じてもらい、アカウントを作っていただきます。地方ではそれだけではなかなか届かないので、地域ごとに押していきたいです。
かつて私が創業したFintech系スタートアップでは株主である通信事業者や決済事業者を介して地方にアプローチしていました。その時にできた人間関係から、多くの方々がウェビナーやセミナーを開いていただいています。
そこで人に集まってもらって興味を持ってもらい、個別に僕たちがアプローチをかけています。早く成功事例を作って横展開したいです。
地方では、彼らが信頼している人たちからの紹介が威力を発揮します。同席させてもらった商談でも、「●●さんの紹介だから……」というのが多いのです。地道に地上戦をやっていきます。一度中に入ると、パルケのファンになってもらえる感じがしています。
――本部だけでなく地方の支店まで分け入っていこうとしているのですね。Zoomなどの外資系企業だと、なかなかここまでの営業はしにくい。そこに勝算があると考えたのですね?
そうです。あとは、チャットツールでもあったりするので、アルバイトの人たちが「ちょっと休みます」とか「遅れます」という通知も可能です。LINEなどプライベートのアカウントで連絡している人もいますが、プライベートとは切り分けて、お仕事用のアプリでやりとりをしましょうということです。
――現在のユーザー数と当面の目標は?
商品に触れていただいたのは5000〜6000です。チャットワークスさんの数字をベンチマークにしたいと思っていますので、まずは200万人を目指していきたいです。その辺の数字に行くとIPOの基準に達するビジネス規模になるでしょう。
――Zoomよりも少し安い価格帯で勝負しようと考えているのですか?
価格帯は0円のフリープラン、330円のエントリープラン、660円のベーシックプランがあります。LINE WORKSさんを意識した価格設定で、それに対して機能がもう少し多く、便利で分かりやすいツールとして販売しています。一部の方が使うというより、なるべく多くの方に気軽に使っていただくプライシングにしたいと思っています。
一定程度、人が集まれば違うビジネスを後から加えていけばいいと思っています。
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