後発Web会議システムの「パルケ」 業界に地殻変動を起こすか:後発サブスク企業の生き残り方(2/5 ページ)
文字起こし機能を搭載し、Web会議とチャット機能を1つにさせた後発のサブスクリプションツール「Parque(パルケ)」。翻訳機能を実装するなど、これまでになかった付加価値のある機能を付けることによって既存のWeb会議システム業界に新しい風を吹かそうとしている。今後の生き残り戦略について、連続起業家であるパルケの社長にインタビューした。
地方にWeb会議ツールが広がらない理由
――なぜ地方の人にはWeb会議ツールが広がらないと考えていますか。
このビジネスを始めるにあたり、実際に地方の人と話をしました。保守的な人も少なくなく、加えて「本当に使いこなせるだろうか?」「なんだかんだ今も仕事は回っている」「本当に効果はあるんだろうか?」と懐疑的な話をしていました。しかもお金がかかるならトライしなくてもいいという雰囲気も漂っていました。
――そういう層に訴求するのは難しいですね。見せ方はどんな風に工夫をしていますか?
パルケは「チャットで気軽にコミュニケーションしましょう」ではなく、「情報集約や共有ツールです」という見せ方をして、顧客にアプローチをしています。トーク履歴という機能があり、後から会話を見ることができます。文字起こし機能によって自動的に議事録を残せますので、会議に参加していないメンバーにも情報の共有が可能なのです。
チャットをしているかどうかも重要な要素だと考えています。当社が実施した調査で「コロナ禍前と比べて会社の売り上げは変わりましたか?」という質問をしたところ、売り上げが増えた会社の71.9%はチャットを導入しているという結果が出ました。チャット機能を入れれば売り上げが必ず上がると言えるわけではないものの、何らかの関係はあるということです。この辺りの数字を見せると、話を聞いていただけるようになりました。
さらに議事録の重要性という観点では、「職場における情報共有の実態と意識調査」では、56%の人がオープンに情報共有されていないと考えていました。また、70%の人が会議に参加をしないと議事録が共有されないなど、会議の中身がブラックボックス化しています。
さらに、62%がお客さまの声やアイデアが共有されていないと感じているようです。こういう層にアプローチをすると、売り上げが上がりやすくなると思います。
――誰かが文字起こしをしなくても議事録を残せる点は優位性を持っているといえそうですね。
その通りです。会話に後から入ってきた人でもトーク履歴を見れば、会議の流れをキャッチアップできます。そもそも会議に参加していない人は、誰かが文字起こしやメモをしなくてもトーク履歴を見れば「こんな話をしていたね」と共有されます。
しかも、英語への自動翻訳機能もあります。逆に英語でしゃべると日本語になるんです。1人は日本語で話し、もう1人が英語で話しても、自動翻訳があるので会話が成立します。双方向なのです。コミュニケーションのフリクションを減らし、会社全体で情報共有していくのを重視したプロダクトになっています。
――双方向翻訳はどのような仕組みになっているのですか?
自分たちでエンジンを開発しておらず、Googleさんの機能を使っています。ですのでChormeのブラウザは使えますが、Microsoft Edgeでは使えない状況です。録画機能については今後、実装していこうと思っています。
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