ドコモも踏み出す「なんちゃって5G」って何だ?:房野麻子の「モバイルチェック」(2/3 ページ)
NTTドコモが、4Gの周波数を利用して5Gのエリア展開を行うことを発表した。4G用の周波数を使った場合は帯域幅が変わらないので、速度は4Gと同等になる。こうしたことから、転用周波数を使った5Gは「なんちゃって5G」と揶揄されることもある。
エリア拡大以外にもメリットはある
5Gに転用周波数を使う最大のメリットは、5Gのエリアが拡大することだ。5Gの専用周波数は4Gよりも高い周波数帯にある。周波数が高くなるほど光の性質に近づくため、電波は遠くまで飛ばなくなり、障害物によって遮られやすくなる。そのため、高い周波数を利用する場合は数多くの基地局が必要となり、コストがかさむ。4Gの周波数を転用できれば、5Gのエリア構築がやりやすくなるわけだ。
ソフトバンクとauはすでに21年初頭から転用周波数を使って5Gエリアを構築している。2社のユーザーは端末上部のステータスバーで「5G」の表示を目にする機会が増えているのではないだろうか。
周波数転用のメリットは、これ以外にもある。まず、5Gは低遅延という特徴があると前述したが、転用周波数を使った場合にもその効果は得られる。
また、ソフトバンクによると、5G SAで低い転用周波数と5G専用周波数を束ねるキャリアアグリゲーションを行うことによって、受信時の通信速度が上がり、よりよいユーザー体験が実現するとしている。さらに、低い周波数は電波が届きやすいので制御信号も届きやすく、高い周波数では届かない場所にも制御信号を送ることが可能になる。さらにキャリアアグリゲーションによって、5Gの高い周波数だけのときより広いエリアをカバーできるようになるという。このほかにも、消費電力の低減や通信の安定化に効果があるとしている。
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