ハラスメント? マネジメント? マネジャーは「部下のプライベート」にどこまで踏み込むべきか:事例で解説(5/5 ページ)
リモート化の進展などで前景化しているコミュニケーション問題。例えば、上司としては、どこまで部下のプライベートに踏み込んでよいものか、悩ましいものだ。本記事では、人事領域に長年携わってきた筆者が目にした事例を基に、この問題を探っていく。
人事は現場の上司をサポートする環境づくりを
リモート化が進み、今後もさらに上司と部下とのコミュニケーション機会は減っていくはずで、マネジメントにおける負担は大きくなるばかりです。部下とのコミュニケーションの役割や責任を、上司だけに負わせるのは難しい時代に入ってきたともいえます。人事は、マネジメントを現場任せにせず、上司をサポートする環境づくりを積極的に行うべきだと思います。そのためのポイントは2つです。
ポイント(1)組織の「横のつながり」をつくる
働き方はこれからもますます多様化するでしょう。上司と部下の「縦のマネジメント」だけでは、コミュニケーションを円滑に行うことは難しい時代に入っています。筆者は、組織の中で「横のマネジメント」の役割を人事は担うべきだと考えています。マネジメントを現場部門任せにするのではなく、人事としても積極的に介入し、社員の情報を集める仕組みをつくらなければなりません。
HRテックを活用したタレントマネジメントシステム導入も打ち手の一つです。昨今では、事業部門に組織運営をサポートするHRBP(HRビジネスパートナー)を置き、活用するケースも増えています。社内のコミュニケーションが希薄になっているからこそ、人事が気軽に相談できる仕組みをつくるべきなのです。
ポイント(2)職場コミュニケーションが起こる仕掛けづくり
社内の飲み会やイベントがなくなりつつあり、コミュニケーションの機会が大きく減ってきています。だからこそ人事は、コミュニケーションが自然に発生するような仕組みづくりをしなければなりません。
例えば社内コミュニケーションが活性化するようなイベントを実施したり(あえて職場で、仕事と関係のないイベントを企画するのもいいかもしれません)、雑談が自然に発生するようなリラクゼーションスペースをつくったりするなど、さまざまな仕掛けを積極的に検討し、実現していくべきなのではないでしょうか。
コロナ禍のテレワークや働き方の多様化が進み、これまで以上にマネジメントは難しくなってきています。これまでと同じではなく、上司もマネジメントスタイルを変化させ、人事も積極的に携わり、コミュニケーションをデザインしていくことで、強い組織をつくれるようになるはずです。
著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)
組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。
新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。
「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っているほか、Twitter、Linkedinでも活動している
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