三菱地所の30代社長がつくった「瞑想プログラム」がコロナ禍で予約殺到なワケ:休館から一転、法人利用が増加(1/3 ページ)
三菱地所の新事業提案制度から生まれた没入体験型メディテーションスタジオ「Medicha(メディーチャ)」がコロナ禍で活況だ。コロナ禍で一時は休業を迫られていた状況から一転、なぜ売り上げを伸ばせたのか。Medicha共同代表の長嶋彩加さんと山脇一恵さんに聞いた。
コンセプトは「自分に余白をつくる贅沢(ぜいたく)な時間」。三菱地所の新事業提案制度から生まれた没入体験型メディテーションスタジオ「Medicha(メディーチャ)」がコロナ禍で活況だ。Medichaはメディテーション(瞑想)にアートと煎茶文化を融合した80分のプログラム。コロナ禍で一時は休業を迫られていた状況から一転、なぜ売り上げを伸ばせたのか。
Medicha共同代表の長嶋彩加さんと山脇一恵さんに聞いた。
(左)長嶋彩加(ながしま・あやか) Medicha代表取締役兼Co-Founder。2013年三菱地所株式会社入社。IR、広報、大手町・丸の内・有楽町エリアのオープンイノベーション推進などを担当。19年4月より現職。(右)山脇一恵(やまわき・かずえ)Medicha代表取締役兼Co-Founder。2013年三菱地所株式会社入社。大手町・丸の内・有楽町地区のエリアマネジメントなどを行う都市計画事業室、開発推進部、ビル営業を担当。19年4月より現職(以下撮影、関口達朗)
グーグル、ナイキ……明らかになった企業からの需要
スマホや荷物をロッカールームに預け、4つの部屋を回る。まずは真っ白な部屋と、真っ暗な2つの部屋を自分のペースで行き来する。日常を忘れ頭の中が空っぽになったら、竹で囲まれたドーム状の部屋に移り音声ガイダンスに従って瞑想。最後は季節を感じる空間で菓子と煎茶を味わいながら気付きを和紙に書き出す――。
80分の没入体験型プログラムを提供する瞑想スタジオ「Medicha」(東京・南青山)がコロナ禍で活況だ。同スタジオは三菱地所の新事業提案制度から生まれた子会社化案件で不動産以外の初の事業。2019年6月にオープンして客足を伸ばしていたが、コロナ禍の緊急事態宣言により20年4月から約2カ月は休館に。同年6月に営業を再開すると、利用者は昨対比で2倍以上増える月が続く。
コロナ禍で来訪者が増えた理由について、「長引く在宅ワークによるメンタル不調で少し遠い存在だったメディテーションに興味を持ち、一歩踏み出す人が多くなった」とMedicha共同代表の山脇一恵さんは話す。
変化はそれだけではない。サービス立ち上げ時には個人利用が多かったが、法人利用が急激に増加しているのだ。契機となったのは、21年夏にコロナ感染対策で最大4人の貸し切り営業に舵を切ったこと。友達や家族との利用を想定しての変更だったが、スタジオを団体利用できることが口コミやサイト上で知られると、企業からの問い合わせが相次ぎ、現在では企業研修や経営合宿のほか、チームビルディングなど多種多様に利用されている。
「法人向けプランは営業再開後に、『職場単位で使いたい』というお客さまの声から始まったものです。オープン当初に描いていたMedichaの姿は、都会で忙しく働くビジネスパーソンが、仕事から離れてご自身を調える場。でも、いざスタジオをオープンすると経営者やクリエイティブ職の方から『頭の中が整理された』『アイデアが思いついた』といった反響やSNSの投稿が多くあり、それがチームや団体利用につながっていきました」(Medicha共同代表の長嶋彩加さん)
実際、欧米ではグーグルやインテル、ナイキをはじめメディテーションを企業研修に取り入れる企業が多いことから、専用スタジオも増えているという。「欧米のビジネスパーソンが日常的に取り入れているメディテーションを日本でも広めたいというのがMedichaの始まりです。オープンから2年半が経(た)ち、個人や企業にじわじわと広がり浸透してきている手応えを感じています」(山脇さん)
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